12期・30冊目 『戦国スナイパー4 慶一郎絶体絶命篇』

内容(「BOOK」データベースより)

戦国時代にタイムスリップした陸上自衛隊員・笠間慶一郎。思いがけず信長の命を救ったことで、ボディガード兼鉄砲頭として取り立てられる。狭まる信長包囲網の中、慶一郎は最強の敵・武田信玄を暗殺したが愛する女性・沙奈を誘拐され、その命と引き換えに主君・信長の命を狙うはめに…。大好評「戦スナ」シリーズ、第4弾!

3巻を読んでから、気づいたら約2年経ってしまってました。その間、同著者の『ゲート』は読み終わってしまいましたし。次の最終巻を読んだら、新作に行こうかどうしようか…。
それはさておき、慶一郎によって狙撃されて重傷を負った武田信玄が遺言を残して没しました。そのために乗っ取りの目論見が破れた道有(武田信虎)は浪人などを集めて比良村を襲い、沙奈を誘拐しました。
そして慶一郎に対して、返して欲しくば、織田信長を狙撃して殺せとの条件が遺されていたのでした。
動揺して一旦去ろうとした慶一郎でしたが、その場にいた佐々成政は当然そのような行動を取らせるわけにはいかず捕縛しようとし、最終的に私怨もあった部下の一人に殺されそうになったところに現れたさくらによって助け出されたのでした。


慶一郎はとりあえず京都に向かったところで、かつて武田信玄を狙った際に知り合った商人・真田六郎と再会。
思い切って今抱えている悩みを打ち明けたところ、思わぬ策を授かります。それは道有が仕えている足利義昭に正面切って仕えることで、道有の目論見(沙奈を餌に信長を殺させ、家臣たちに追われた慶一郎が苦しむ姿を見ること)を潰そうということ。
とにかく織田家から出奔したことは事実で、あとは義昭の命によって信長を狙うふりしながら沙奈が囚われている場所を探り、土壇場で救い出すことが命題。
一方で佐々成政の不始末により、慶一郎が逃亡したことを知って激怒した信長。
まさか本気で自分を狙うとは思えませんでしたが、念のために甲賀忍びを送って様子を伺わせます。
慶一郎としては監視としてつけられた杉谷善住坊をなんとか騙して取引を持ちかけようとしたのですが、道有まで監視に付いてきてしまい、なかなかうまくいきそうになく、結局本気で信長を狙撃する手はずを整えていくことに…。


以下、箇条書き。
・敵ながら道有と善住坊、それぞれが抱く妄執と戦国人としての矜持もあいまって、憎たらしいほどに存在感が出てる。
・さくらの剣術がパワーアップ&典型的なツンデレに!ついにここまできたか…。
・ヒロイン(?)たる沙奈が薄幸すぎて存在感が薄い。
・食えぬ商人かと思っていた真田六郎だけど化けた。有名な盗賊に化けた。
・狙撃のためにずっと立て籠もっている描写、それに最後の戦いの場面も迫力あって良かった。
・慶一郎と信長。時代を超えた二人がお互いに相手を理解していたというのが鍵。確かにタイムトラベルものではそういった意識のズレをどう扱うかが問題であり、そこは信長だからこそ理解できたということかな。いくらか甘すぎるというか都合良すぎる気はしますが、物語の展開的に仕方ないですかね。その分、義昭がどうしようもないバカ殿になってしまってやり過ぎ感も。


ちょっと気になったのが、冒頭で善住坊が沙奈を捕えに行った時、白蛇の化身を見て息が止まったとありました。
てっきり呪いとやらにやられたのかと思ったけど、慶一郎を殺した後に沙奈も手に入れると言っていたので、つまりは横恋慕したってことですかね?
ともかく、最後にまさかの展開が待っていました。
この後、二人はどうなっちゃうの?ってところで最終巻を早く読んでみたいと思います。