火災報知機について

goldwell2010-09-23

以前、団地に住んでいた時、火災報知機の点検が半年に一回くらいありました。それも日曜の朝早く*1だったりして、せっかくの休日なのに寝坊できなくて、ヤダなぁと思っていたことがあります。
それがついこの前、職場でも火災報知機点検の業者が来ました。あれ?今の職場に来てもう4年くらい経つけど初めて見たなぁと思ったのですが、たぶん今までは土日に実施していたのでしょうね。


さりげなく見てみますと、長い棒の先にアルミのお椀のような物がついている道具が以前見た業者と同じでした。お椀部分を天井の火災報知機に付け、あの中で火もしくは高温になってちゃんと報知器が鳴るかどうか検査しているのだと思います。
なぜ知っているかというと、団地で見た時に、なかなか報知器が鳴らず、業者がライターに火を付けてかざして鳴らしているのを目撃したから(笑)
ということは、あの報知器まで火が届くくらいの大火にならないと、鳴らないってこと?ちょっとした古い扇風機から火が出たとか、お風呂空炊きしたくらいの小火じゃ鳴らないのかぁと思ったものです。中には煙で検知するタイプもあるようで、トイレの個室で煙草吸った人がいて怒られたという話も聞いたことありますよ。


で、ちょっと調べてみました。
ウィキペディアでざっくり概要を。
wikipedia:自動火災報知設備

感知器を用いて火災により発生する熱や煙を自動的に検知し、受信機、音響装置(ベル)を鳴動させて建物内に報知することにより避難と初期消火活動を促す設備である。

感知器
建物の各警戒区域に設置され、火災の熱、煙、炎を検知し、受信機に信号を送る装置。

感知器一つにもいろいろ種類があるようで、熱を感知して一定温度以上になると作動するタイプ(定温式スポット型熱感知器など)・炎から発せられる赤外線を感知するタイプ(赤外線式炎感知器)・紫外線を感知するタイプ(紫外線式炎感知器)・煙に含まれる燃焼生成物を感知するタイプ(スポット型煙感知器)などがあります。
写真付きの詳しいページはこちら。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/1304/
以前住んでいた団地にあったのは差動式スポット型熱感知器だった気がします。今の自宅にあるものを写真取って記事に添付したのですが、スポット型煙感知器に似ているようですね。


防火対象物となっている一定規模の建物や店舗がある雑居ビル・重要文化財などについて、消防法によって火災報知機を含む消防設備の点検が義務付けられています。
http://www.shizubikyo.or.jp/tenken_02.htm
http://www.anshintasuke.com/mente/tenken-gimu.html
ちなみに住宅用の火災報知機に関しては、新築は平成18年6月1日より火災報知機設置が義務化されています(既存住宅は市町村条例による)。
http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei.html


んでもって、業者が検査に使っていたあの道具についてどこかに載っていないか探してみましたところ、社団法人・日本火災報知機工業会のページに詳細なマニュアルがありました。
各種の試験器を着脱器と支持棒に装着して使っているみたいですね。棒の方は木製しか見たことなかったけど、アルミ製のもありました。軽いけど価格がいいのかな。
※実際の図や使い方は下記にリンク(pdf)一覧有り。
http://www.kaho.or.jp/text/engineer/tk01_p01b.html
加熱試験器に関しては、どうやって熱を発生させるのかいうと、白金カイロ用ベンジンを燃料しているものや、電気による発熱体(電池使うのか?)、それにお湯を使うもの(急いで済ませないと冷めてしまいそう)までありました。
もっと簡単な装置なのかと思いましたが、ざっと読んだかぎり素人目には取り扱いが複雑そうですね。


資料の中には、劣化して役に立たなくなっていた感知器の写真とかあって、興味深かったです。報知器の誤作動とかたまにありますけど、実は管理する人間の問題で火災被害が大きくなったというニュースがたまにありますね。
ホテル側の配慮で予め切られてしまってたり、火事を報知器の誤作動と勘違いしたケースとか。
http://www.loveho-bible.com/hon5_3.htm

ホテルでは火災に備えるために各部屋に火災報知器が義務づけられている。しかしこの火災報知器は、火事の際には意外と役に立たないことが多い。何故なら、火災報知器の誤作動を嫌い、あらかじめ警報ベルは停止されていることがあるからだ。
(中略)
誤作動で宿泊客にいらぬ心配をさせたくないという配慮から、ホテルや旅館というものはベルを鳴らないようにあらかじめ切ってしまうということがどうしても行われがちなのである。
(中略)
しかしこのような対応は、1歩間違えれば被害の拡大につながる。昭和61年菊水館火災事故、平成6年若喜旅館火災事故も火事発生後にベル停止がなされたことが被害を拡大した。

http://www.securityhouse.net/blog/archives/2008/10/post_878.html

大阪市浪速区の個室ビデオ店で15人が死亡、10人が重軽傷を負った放火事件で、1階に店が入居する雑居ビルの6階に住む管理人の男性(77)が大阪府警浪速署捜査本部の調べに対し、「誤作動と思い、6階の自動火災報知機のスイッチを切った」と話していることが分かりました。

いくら設備を整えても、火事は人災の面も大きいですよね。防災管理も大事なわけです。

*1:8時くらいだったと思う