- 作者: アーサー・ヘイリー,武田公子,大坪光之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1973
- メディア: 文庫
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前半は舞台となるリンカーン国際空港を中心に人物の描写に割かれていて長いです。
まぁ主人公である空港長・メル・ベイカースフェルドが大いに関係する問題、例えば飛躍的進歩を遂げる航空機に対して陳腐化し対応が遅れる国際空港の内情に関しては物語上必要な事柄だけに業界事情として詳しく書かれているのは好感持てます。ちなみに物語上では50年代となっていますが、空港というハイテクが集約されている場所のせいか時代はあまり感じさせません。
他の主要人物で言えば、主人公とその義兄であるパイロット・ヴァーノンとの確執や弟で航空管制官のキースが抱える過去のトラウマなんかも現実的にありえそうであり、物語的にも後々関係してきますね。
しかし各自の家庭問題をあそこまで深く書く必要があったのかは疑問です。浮気にいそしむメルの妻・シンディの情事なんか別にどうだっていいような・・・。
失職中で多額の借金を抱えてにっちもさっちもいかなくなったゲレーロが行動に出る頃から次第に緊迫度が増してきます。同時に騒音に苦しむ街の人々が悪徳弁護士に率いられて空港にやってくるのがサブストーリーながら興味深い。航空先進国のアメリカだけに50年代から騒音問題が表面化していたのですねぇ。*1
そしてついに発生してしまった機内の爆破テロによってドラマは一転してパニック展開へ。実はその前段階であるゲレーロの鞄争奪戦もなかなかの見ものなんですよね。スチュワーデスのグエン*2と賃搭乗常習犯の老女・アダ*3という二人の好キャラクターによる名演技によってもう少しでうまくいくかと思われたところで余計な手出しをする馬鹿者が・・・。
機内損傷と負傷者が出たことによりリンカーン国際空港に戻ることになったグローバル2便。しかし着陸に必要な長い滑走路は別のジャンボ旅客機が脱輪によって塞いでいた。果たして撤去が間に合い無事着陸できるのか、といったスリリングな展開で盛り上がっていくわけです。
まぁ結末に関しては予想通りということで文句は無いのですが、欲を言えばヴァーノンとグエンのその後も書いて欲しかった気がしますね。