『ゾンビ(Dawn of the Dead)』

スマイルBEST ゾンビ ディレクターズカット版 [DVD]

スマイルBEST ゾンビ ディレクターズカット版 [DVD]

えー、たまたまテレビで見たものを除き、レンタルやセルでは実に久しぶりに洋画見ました。
もともとホラーやパニック小説が好きな私ですが、ゾンビものも一ジャンルとして確立されていて、いろいろ読んでます。*1
しかしそれらに影響を与えた基本中の基本とも言うべきジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画が未見で、以前から見たいと思っていつつもずっと機会を逃していたのですが、偶然中古市でDVDを発見して見ることができた次第です。


冒頭はちょっとわかりづらいのですけど、すでに全米各地で死者たちが蘇って人を襲い、インフラの破綻を含めてパニック状態が始まっているという前提らしい。
混乱するテレビ局の職場から逃げ出した恋人同士のフランとスティーブン。アパートに突入した際に地獄絵図を見たフィラデルフィア警察SWAT隊員のロジャーとピーターの四人がヘリで脱出するところが序盤のシーン。
すでにこの頃から頭部がゾンビの弱点だと周知されているようですが、脳が原因なのかなぁ。銃で撃ち抜くだけでなく損傷だけでもバタっと倒れるのが不思議でした。あとゾンビ集団に襲われた人間はたちまちのうちに食い尽くされてしまうのに対して、噛まれても逃げて五体がほぼ残っている人がゾンビ化しますね。そう考えると一定数まで増えた後は急激な増加は無さそうな気がしますが。*2まぁ細かいツッコミはこのへんにして。


前半部分では、上空から見てかなり広範囲にゾンビ化しているのが見て取れます。どこまで行ってもゾンビだらけ。燃料補給のために立ち寄った飛行場でもゾンビと対決。駆け寄ってくる子供ゾンビが嫌だわ。
そして水・食料などの補給と休息のため、問題のショッピングモールに辿りつくのですが、ここもほとんどゾンビに占拠されている状態。生前の習慣がそうさせるのか、のろのろと店内をうろつくゾンビたちが滑稽と同時に物悲しい。
そしてショッピングモールの最上階を生活の場とするための作業を行う4人ですが、仲間内のいざこざやら、ちょっとした間隙を襲うゾンビだとか、定番とも言える演出がニクイですね。
途中、噛み付かれたことが原因で生きながら(死と同時に?)ゾンビと化すピーターが印象的なんですが、その前後のショッピングシーンが長くてだらけます。


しかし、本場の暴走族といった感のある強盗団がショッピングモールに大挙来襲する急展開から俄然盛り上がります。無法化を象徴するとはいえ、こいつらの乱暴狼藉はひどいもんです。パニック状態においては人も凶暴化するという定番ですが。
圧倒的不利ゆえに静観するはずが怒りのあまり撃ってしまったスティーブンの気持ちもわからなくはないのですが、彼の場合は物欲が先か。しかも当たらなかったし(笑)ここは冷静なヒットマンと化すロジャーが断然格好いいです。
破壊されたショッピングモールに別れを告げ、ロジャーらが去った後は、元通りモール内に集うゾンビたち。軽快な音楽が流れる中を無秩序にうろつくゾンビたちの不気味さが際立ちますね。彼らは肉体が朽ち果てるまでずっとさまよい続けるのか・・・。*3


ちなみに「日本劇場公開版」では冒頭に惑星の爆発シーンや「死体を蘇らせる光線が発せられ、それが地球で眠る死者に影響を与えたため蘇った」という説明テロップが付いているそうです。
私が見た「ディレクターズ・カット版」ではそれがないこともあって、始めは唐突感がありました。また、編集が粗い面もあって、これは余計じゃないかと思うような長いシーンもありますが、入手できるバージョンの中では完全版に近いのではないでしょうか。TV放送版では当然の如く削除されている残虐・グロシーンもきっちり入っていますね。それゆえ鑑賞しながらの食事は避けた方が無難。それと1978年公開(日本は1979年)ということもあってか、さすがに時代を感じさせるシーンや妙に変な効果音が目立ちましたね。

*1:最近は見てないけど、昔は『バタリアン』シリーズ、ちょっと前は『バイオハザード』といった映画も見たなぁ

*2:他のゾンビものでもそう。減る人間に反比例してゾンビは増え続ける

*3:ゾンビって食料が入らくて衰弱したり、肉体が老化することってあるのかしらん?