2期・80冊目 『記号を喰う魔女』

記号を喰う魔女 (講談社ノベルス)

記号を喰う魔女 (講談社ノベルス)

内容(「BOOK」データベースより)
「僕が死んだ時、居合わせた人間達を僕が生まれたあの島に向かわせてください」そう遺言を残し中学生が自殺した。孤島を訪れた5人の同級生を襲う殺戮劇。死体には、全て「逆さV」の記号が残されていた。犯人は、そして生き残れるのは誰?最終ページまで気を抜くことを許さぬ、狂気の連続と逆転する真相。

閉ざされた島の中で伝説の殺人鬼に追われるか思えば、常軌を逸した大人たちによる諍いに巻き込まれ、なぜ島に呼ばれたか・なぜ殺人事件が起きたのか、幾つもの謎に翻弄されつつ、次第に理由が明かされていく、という濃いストーリーにそれなりに楽しませてもらいました。
それに本編に登場する4人の女性、安藤・石井・遠藤・坂本。誰が「記号を喰う魔女」に値するのか、最後までなかなか評価は一定しなかったですね。


忌まわしい状況から逃れようと足掻く主人公達(招かれた同級生の一人である小林という少年と、ヒロインとも言える安藤)。
小林は最初から安藤にベタ惚れで、いいとこ見せようと頑張るんですが、どうにも空回りしててい見苦しい。まぁ自身を振り返ってみても15歳という若さからすれば仕方ないのかもしれないけど、途中でそのワンパターンさにうんざりすることも。*1


物語が経過するにつれて明かされるテーマはカニバリズム
これに関しては島に居合わせた若い男女(村木と遠藤)がキーを握るらしく、古代風習の点から各地に残るカニバリズムの残渣や魔女の歴史的背景が披露されます。さらに彼ら自身の人食経験まで。
それだけ食べることに執着していた彼が、最後になって食べて欲しくなった理由にしたらちょっとくどいかな。そしてパートナーだと思われた遠藤の過去が語られることにより、冒頭の自殺の真相についても明かされるけれど、彼女の行動自体はよくわからない。


村木と遠藤の退場後、滅茶苦茶な関係に陥ってはずの女子のみんなで仲良くお食事なんですが、それまでのまさに相手を殺しかねないほどのいざこざ(冒頭の少年の自殺に起因する)は何だったのかと。
勢いは感じたけど、どうも最後まで腑に落ちない点がいくつか残ったのが残念でした。

*1:最後に安藤の告白を受けてどうなるかと思いきや、衝撃を受けて変貌しちまいました。なるほどそうきたか。