29冊目 『レイクサイド』

レイクサイド (文春文庫)
作者: 東野圭吾
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 2006/02
メディア: 文庫

ふと会社帰りに寄った本屋で見つけて、読み始めたら止まらず一気に進んでしまった作品です。
子供の私立中学受験の為の合宿の為、避暑地に集まる4組の家族。
主人公以外の夫婦達は何やらいわくありげな会話をかわし、主人公は妻や彼らの秘密を探っている模様。そこに訪れる主人公の美しい部下の女性。
もう物語のしょっぱなから不審なムードありまくりで、先が気になってペースが進みます。


主人公の事情*1には同情できない上に、感情表現を排した記述なのに、読んでて飽きないのは、巧みに散りばめられた伏線と絶えず緊張感を保った人間関係などによる展開のうまさがあるからでしょうか。
最後に親達の真相が明かされる様も、意外性だけでなくそれまでの不審な点も納得できて、期待を裏切りません。
ただ、その理由については人によって多少の疑問は残るのかもしれません。
個人的には主人公父子について、血が繋がらないというだけで、何年も一緒に過ごした子供のことをそんなに無関心でいられるのかな、と思いました。
もっと親としての葛藤が描かれてもいいような気がしますが、あえて作者は省いたのかもしれませんね。


以下、下世話な想像。ネタバレあり。
他の親から、愛人を殺した真犯人は子供たちの誰かだ、と聞かされた主人公・並木俊介は警察に行くために、ひとり車で別荘を後にしますね。
その前に子の章太が車のキーを借りています。
俊介が警察に行くことを察知した子供達が車に細工し、俊介は帰りにブレーキが効かずに湖にドボン!
かくて別れ話のもつれによる殺人として、俊介は犯人に仕立て上げられるか、無理心中ということで、真相は闇の中に・・・なんて想像しました。

まぁ、最後はホッとする結末でしたが。

*1:自分は浮気しているくせに妻の浮気を疑っていて、あわよくば離婚の証拠にしようと、愛人に探るように頼んでいる