10期・13冊目 『絶海戦線2 第2次ミッドウェー海戦』

内容(「BOOK」データベースより)
ミッドウェーでの大海戦を辛くも制した日本海軍。「赤城」「比叡」など主力艦の喪失と引き換えに得た二つの島は、まさに絶海の孤島だった。輸送船団は次々と襲われ、最前線の将兵は補給もなく餓えてゆく。大本営はここに至り、戦艦「大和」率いる第一艦隊を出撃させるが、米国もまた要衝奪還のため、新鋭艦を繰り出したのだった。両軍、激突の時が迫る―。巨艦戦記第2弾。

前巻の最後の海戦で損害は出たものの、無事ミッドウェーを占領した日本軍でしたが、度重なるハワイからの爆撃と容赦ない輸送船狩りによって事実上基地として立ち行かなくなります。
守備隊は食料や水にさえ事欠くようになり、まるで史実のガダルカナル島に近い惨状となっていることが冒頭で描かれています。
ただちに奪還に向かうのではなく、はるばるやってくる輸送部隊を潰して補給を絶つことで国力を消耗させる作戦を選んだのが米軍の取った戦術であったわけです。
そこで遂に日本軍はGFあげての大艦隊を送り、敵の殲滅と大量の補給物資によって基地化を一気に推し進めることにします。
当然、米軍もかき集めた空母と開戦後に就役した新型戦艦をもって迎え撃つ。
かくして第2次ミッドウェー海戦の幕開けとなるわけです。


第1次ミッドウェー海戦の影響により、保有空母のバランスは日本に大きく傾いており、日本優勢は確か。
そこで米軍機動部隊の司令官ハルゼーはレーダーの活用と徹底的に敵の目を潰すことで常に先手を取ることで数の不利を覆そうと考えていたのです。
空母の飛行甲板上に攻撃隊を並べ、いつでも発進できるように準備は整っているのに未だ偵察機からの「敵空母発見!」の連絡無し。
刻一刻と時間が過ぎる中で苦悩する日本軍首脳部。迫りくるであろう米攻撃隊。果たして勝敗の行方は?
とまさに史実のミッドウェー海戦の再現か否かという手に汗を握る展開なわけで、史実を参照しつつより劇的な展開を描くのが本シリーズの狙いのようです。


今回も艦隊上層部と末端の兵士の視点からの迫力ある戦闘描写が特徴であり、決して内容的に悪くはないのですが、横山信義氏のシリーズを今まで読んでいた読者からすると変わり映えの無い展開なんですね。
特に航空戦の後、水上決戦を挑んできたリーの米新鋭戦艦と大和をはじめとする日本戦艦部隊との戦闘(ほぼ夜戦)など何度見たことか。
まぁ戦力設定が史実に沿っている以上、戦力比がそうそう変わらないのは仕方ないのですが。


終盤で欧州戦線も史実と違った展開となって枢軸側にバランスが傾いたことにより、次巻で大きな動きがあると予想されます。
3巻で強引に終戦への道をつけるのかな?
それとも一時的に枢軸国が勢いがついて更なる攻勢を行い、息切れさせたところで連合軍大反攻で終わるのでしょうか。
日本軍にとっては、やっぱりミッドウェーは遠かった・・・ってね。