53、54冊目『タイム・リープ−あしたはきのう(上)・(下)』

タイム・リープ―あしたはきのう (上) (電撃文庫 (0146))
タイム・リープ―あしたはきのう (下) (電撃文庫 (0147))
作者: 高畑京一郎
出版社/メーカー: メディアワークス
発売日: 1997/01
メディア: 文庫

前に映画と小説に関する質問をして、そこで推薦された作品です。
その時は、そのうち読もうと思ってそのままだったのですが、他の質問の回答で見かけたこともあり、購入してみようと思った次第です。でもなかなか入手に時間がかかりました・・・。


ストーリー的には、よくできていると思います。意識だけが跳ぶというタイム・リープ現象自体を素直に受け入れれば、現象の説明や、事前知識を与えることによる時間の再構成という概念もわかり易く書かれていますし。
ある日突然タイム・リープするようになってしまったヒロイン。その原因を探ることが物語の目的となっています。
1週間という限られた期間の中で、時間の流れを無視するように過去に戻ったり未来に行ったりするわけですが、後半でちゃんとまとめの説明があって混乱することも無いです。


こういう内容の小説は、元々タイムトラベル系が好きなのものなんで楽しめました。。
他のタイムトラベル物がちらっと出てくるあたりは、知っている人間としてはニヤリとしますね。「ラベンダーの香りを嗅いだ」とか「車に乗る奴」とか。


ただですねぇー、読み終わった時に物足りなさは感じましたね。
個人的にもっとストーリーに捻りと複雑さを求めたい。ある程度先が読めてしまう展開。意外性が無い。もっと読者に頭を使わせろと(やり過ぎるとライトノベルではなくなってしまうか)。
読後の余韻も少なかったです。あとがきに半端な後日譚もどきを書くくらいならば、本編にもっとこだわりが欲しい。
もっとも人によっては、あれはあれできれいな終わり方と思うのかもしれないけれど。


以下、余談というかつぶやき。
そもそも『蝦夷地別件』という重厚な長編の後に読んだのがタイミング的に良くなかったのかしれない。あとライトノベルに慣れていないのも。
10代の頃に読んでいたら、もっと新鮮さを感じたのかもしれないなぁ・・・。