10期・21冊目 『幕末時そば伝』

幕末時そば伝 (実業之日本社文庫)

幕末時そば伝 (実業之日本社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
高杉晋作は「目黒のさんま」で暗殺された?井伊直弼大老就任は「長屋の花見」で決まった?公武合体は「道具屋」が実現させた?大政奉還は拒否するはずが「時そば」のおかげで?幕末の一大事変、知らずに関わっていたのは何と、落語でおなじみの熊や八に与太郎粗忽長屋の面々だった―鯨マジック爆笑必至!時代大逆転ミステリー。

江戸近辺のとある藩で家督争いが勃発。跡継ぎである当の本人・熊川吉右衛門はのほほんとして今日も町をお忍びで歩いていたが、弟を擁する敵対派の家臣に追われて崖から落ちた挙句に記憶喪失。
流れ着いた縁で通称・粗忽長屋の「熊」として生きていくことになりました。
粗忽長屋の名は伊達ではなく、そこ住む住民はいずれ劣らず粗忽者ばかり。
そんな彼らの日常が落語の小噺風に展開されており、そのオチが歴史の重要場面に絡んでいたというわけです。
井伊直弼大老就任や和子内親王降嫁による公武合体、さらに尊王攘夷派の切り崩しとして高杉晋作の暗殺まで。
まぁ、多少というか、かなりの強引さは感じられますが。


ユーモアの点では電車内で読んでいて吹き出しそうになるのを我慢するくらい笑える場面もあります。
ただ歴史ものとしては、詳しい人からすれば各章の早い段階でオチが読めてしまうので、あまり楽しめないかもしれない。
歴史ものはせいぜい見てもドラマ程度という、あまり詳しくない人の方が楽しめるかもしれないですね。