8期・42冊目 『群龍の海3』

内容(「BOOK」データベースより)
1943年11月、米海軍は日本の根拠地マーシャル諸島を制圧し、新鋭巨大戦艦「ネブラスカ級」2隻をはじめとする太平洋艦隊の主力が、メジュロ、クェゼリンの二大環礁に集結する。翌44年2月、万全の態勢を整えた米太平洋艦隊は戦力を二分し、それぞれマリアナ諸島とトラック環礁に向けて進撃を開始した。米軍の真の狙いは果たしてどちらなのか!?

三たび戦力を揃えて侵攻を目論む米軍。
新旧合わせて16隻の戦艦を押し立てて迫りくる。
日本軍も夜間航空攻撃や潜水艦による機雷設置などあの手この手で妨害を図るのですが、米軍主力を削るまでにはいかず時間稼ぎのみ。
果たして米軍の狙いはトラックかマリアナか?それとも両方同時攻略を狙っているのか?


何と言ってもこの世界では初の46cm主砲を持つネブラスカ級が目玉。
架空戦記界随一の大艦主砲主義作家である著者がその比類なき攻撃力・防御を存分に描きたかったと言って過言ではないでしょう。
史実の大和、武蔵は活躍の場面が無いまま戦争終盤に至って不利な状況での出撃で撃沈されてしまいました。
それが作品中のネブラスカのように充分な補助艦艇と上空援護があれば、そう簡単には沈められないぞと言いたかったのでしょうな。
もっとも前巻の悲劇*1を乗り越えて航空主兵主義を進めた日本軍も中小空母の量産と新型の艦上機を揃えて迎え撃つ。
航空機対戦艦の熾烈な戦闘描写は見もの。
アメリカが大艦主砲主義を極めた結果、新規正規空母は建造されず、軽空母のインディペンスクラスのみで編成されているので航空機は少な目で、戦闘バランスも取れていますね。


それにしても実は計画すら進んでいないB29をブラフとして使うとは思わなかったなー。
全体的にネブラスカ級の鬼のような強さが思う存分に描かれた反面、前巻の巨大新鋭戦艦だったはずのコネチカット級が貧乏くじ引いてて引き立て役になってしまった感がありましたね。
正直、展開は読めたのであまり期待していなかったのですが、内容としては意外と楽しめました。
最後が気になる終わり方だったので、次回で終戦に向けての劇的な展開と最終決戦が待っているのでしょう。
そして日本軍がネブラスカ級をどう攻略するかに期待ですね。

*1:戦艦によって空母・赤城が撃沈され、小沢治三郎が戦死