6期・49冊目 『J.F.ケネディを救え』

J.F.ケネディを救え (ハヤカワ文庫NV)

J.F.ケネディを救え (ハヤカワ文庫NV)

内容(「BOOK」データベースより)
ダラスの高校教師デヴィッドは、美しい恋人ローラと幸福な生活を送っていた。そんな彼の唯一の心残りは、ヴェトナム戦争で死んだ愛する兄のこと。ある日、天才物理学者クープマン博士がタイムマシンを発明したことを知り、デヴィッドは一つの計画を思いついた。ヴェトナム撤退を決定していたケネディ大統領の暗殺を阻止すれば、戦争は拡大せず、兄も死ななくてすむのだ。博士を説得したデヴィッドは、暗殺現場に跳ぶ。だが一足違いで間にあわず、あろうことか暗殺犯として逮捕されてしまった。軽快なタッチで描く愛と勇気の冒険ファンタジイ。

もしもタイムスリップが可能だったら歴史を変えてみたいというのは誰もが思いつくことでしょうが、いざ実際に過去の時代に行ってみたとしてもうまくいくでしょうか?
まさにそれを地でいってトラブルに巻き込まれる様を描いたのが本作です。
主人公のデヴィッドは恋人ローラと巡り合い、幸福な生活を送ってはいるものの、敬愛していた兄がヴェトナム戦争で死んだことが今でも心に重い影を落としています。
それがローラを通じて知り合った天才物理学者クープマン博士がタイムマシンを発明したことを知ってある計画を立てます。ケネディ大統領の暗殺を阻止すれば戦争は拡大せず、兄を救うことも可能なのではないかと。


クープマン博士が開発したタイムマシンというのは時間場所を指定して往復が可能という優れもの。ただし指定された時間に必ずその場所にいなければなりません。
ケネディ大統領の暗殺犯とされているオズワルドの射殺を阻止するため、事前にタイムスリップしたデヴィッドですが、古びたドアが開かないというトラブルがあってオズワルドの射撃にぎりぎり間に合わず、もみ合いになってなぜか暗殺犯に仕立て上げられてしまいます(ライフルを取り上げているところを見られたのが大きな理由)。
そして現場から逃走するも怒りに燃えた群衆に捕まってしまい、真犯人のオズワルドの方が暗殺を阻止しようとした英雄になるという皮肉な結果に。
1985年の未来にて歴史が悪いほうに変わったことを知ったローラはデヴィッドを助けるために今度は自分が事件の一日前に跳ばせてほしいと博士を説得するが・・・。


その後の詳細は避けますが、トラブル続出ながらなんとかケネディ後の後継者ジョンソン大統領の面会にこぎつけ、未来(1985年)から持ち込んだフィルムを見せて戦争休止の説得に成功するかと思いきや、とんでも無い方向へと展開してゆくのです。
事態は二転三転して最後はハッピーエンドというまさにハリウッド映画のようなエンターテイメント盛りだくさんのストーリーで楽しめました。
そういや過去を変えたことが即未来に影響するところとか、時空を駆け巡るカップルと天才科学者という組み合わせと言えば、映画バック・トゥ・ザ・フューチャーを思い起こしますねぇ。
ちなみに歴史が変わった後の1965年以降の世界が二通り描かれていますけど、そのあたりにアメリカ人である著者の視点が伺えてちょっと興味深かったりします。