- 作者: 小川和久,坂本衛
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/03/28
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
自衛隊はアジアの脅威なのか?北朝鮮が保有する弾道ミサイルの危険性とは?日米安保条約の真の意義はどこにあるのか?わが国には戦争と平和を論ずるための知識が欠如している。軍事アナリストとして、政府・政党に提言を続けてきた小川和久が、あなたのさまざまな疑問に明快に答える。混迷の21世紀、日本は国際社会でどのような責務を負うべきなのか。その指針は本書にある。
タイトルの「戦争力」から日本の軍事力の強弱や政府の国際戦略を論じたように受け止めがちですが、もっと広い範囲で日本の安全保障を解説した本です。
日本を中心としつつも、アメリカや周辺国の立場まで網羅して一問一答形式でわかりやすく説明し、各項で重要ポイントとしてまとめているので、特に軍事や政治に詳しくなくても理解しやすいと思います。
例えば、「日米安保条約の片務性」(日本はアメリカに一方的に守ってもらっているという考え方)や北朝鮮の軍事的脅威に関しては、いかに自分が皮相的な情報に影響されてその本質を掴んでいなかったかを痛感させられます。
繰り返し強調されるのが、日本の地政学的な重要性。基地の役割も含めて日米同盟関係がアメリカにとっていかに重要かということがわかります。
それを踏まえないと、基地問題や自衛隊の武装に関する議論も中身を伴わない空論・感情論に陥ってしまうのでしょう。
さらに意外だったのが、憲法も前文と第9条を国際的な感覚で読めば、自衛隊(軍隊)の存在と矛盾しないこと。専守防衛に徹して、侵略能力(戦力投射能力)を持たない自衛隊は憲法の理想を具現していたわけですね。この解釈はもっと知られてもいいんじゃないでしょうか。
まぁ著者本人が軍事アナリストとして日本で第一人者であろうことはわかるのですが、他の評論家やマスコミ・政治家に対しての意見が目立つのはちょっと気になりましたけどね。*1
*1:心情的には小気味よい部分はあるけれど