3期・20冊目 『鋼鉄の海嘯 樺太沖海戦1』

樺太沖海戦―鋼鉄の海嘯〈1〉 (C・NOVELS)

樺太沖海戦―鋼鉄の海嘯〈1〉 (C・NOVELS)

出版社 / 著者からの内容紹介
昭和16年、緊張の続く北緯50度線で日ソ国境紛争が勃発。南樺太に火砲弾が降り注ぎ、快速戦車BT7が満州を蹂躙する。防戦に追われる日本軍に反攻の機はあるか!? 戦記巨篇、開幕!!

手を広げすぎた史実に対するアンチテーゼというか、戦術の原則に則り各個撃破がテーマのようです。今回は連合国対枢軸国という枠組みはそのままに、先にソ戦をやっつけようというものらしい(状況的に手を出すのはあちらが先のようだけど)。各個撃破とは言っても、実際には一国でも日本には荷が重いし、ソ連倒した、はいじゃ次アメリカって風に都合良くいくわけないですから。そこはどう改変するか。プロローグでイギリスは脱落してしまうので世界的にはかなりの違いは現われるでしょうが。
読み始めて感じたのですが、相変わらずドイツ頼みの欧州戦況の変化、中国大陸は国共内戦、そして日本自体は地味〜なところで改変*1というのは毎度毎度ですねぇ。戦闘描写に関しては文句無いし、横山信義氏らしいといえばらしいですけど。


肝心の樺太満州における戦闘は前半押されるものの、珍しく陸海軍が協力しあい、意外なくらい有利に進むのです。ソ連陸軍の極東戦力に補正がかかっているのもあるでしょう。
しかし外交面ではいいとこなし。終盤、おらが正義をふりかざすアメリカの圧力が。加えてとうとうT34を繰り出してきた(少数だけど)ソ連がこのまま黙ってはいまい。どうやって各個に対応させるんでしょうかね。なんだかんだ言っても気になって次巻が楽しみなのです。

*1:ノモンハン事変の教訓が史実より取り入れられた結果、ドイツの4号戦車が導入されたり若干機械化が進んだとか、北樺太油田の採掘権を持っているとか。