3期・10冊目 『合衆国解放3−クリムゾンバーニング』

合衆国解放―クリムゾンバーニング〈3〉 (C・NOVELS)

合衆国解放―クリムゾンバーニング〈3〉 (C・NOVELS)

長きにわたったこのシリーズもついに完結です。「合衆国解放」編に入ってからボリュームは増したけど、最後まで読者を飽きさせないめまぐるしい展開で、それなりに楽しめました。ただ進むに連れてどんどんネタに走りがちになっていくので、ちょっとやり過ぎかなぁと思いましたけど。
目についたのはガンダムネタ。2で白い奴・赤い奴が出てきたと思ったら3では台詞がかなり使われていたし。あと佐藤大輔ネタっぽいのもちらほらと。メイドスキー関連は、これなくしてはクリムゾンバーニングではないので別にいいです(笑)


一作家の分際で司令部にも出入りして極秘作戦にも口を挟む曲垣*1狂言回しな存在なのか、他にも重要な軍事作戦を一手に握る総司令官・宗方(なんか軍記ものに出てくる軍師みたいなイメージ)や講和の鍵を握る一応主人公らしい伊達、彼との因縁深い男女など一癖も二癖もある架空人物が中心になってますが、脇を固める実在の人物については一般的な架空戦記では評判良くない人が活躍するのが当シリーズの特色ですかね。宇垣纏や辻政信なんかそうです。ただもっともインパクトがあったのが赤化合衆国の首領・スターリンかな。「合衆国解放」編に入ってからなんとなくイメージが微妙に違ってきたのですが、最後の展開にはびっくり。不治の病に冒されたという設定が史実とは晩年を変えさせる一因となったのか。


1940年代後半とは到底思えないようなハイテクノロジーが登場するのは後書きの通りに著者の根拠や考えあってのことで、そこはストーリーのラストにも関わるのでいいとしても、簡単に傍受しまくりでお互い秘密が筒抜け。乱戦の中にあっても敵味方の会話が成立しちゃったり、何度も切り札やら最終手段やらが出てくるあたりがリアリティよりも娯楽要素が強過ぎてちょっと冷めちゃいましたね。

*1:この世界で『社会主義はメイドスキー』シリーズの作者。著者がモデルらしい