2期・92冊目 『殺戮の「野獣館」』

殺戮の「野獣館」 (扶桑社ミステリー)

殺戮の「野獣館」 (扶桑社ミステリー)

内容(「BOOK」データベースより)
今世紀初頭に建てられて以来、怪物が棲むと噂され、今日でも凄惨な殺人があとを絶たない「野獣館」。だが、すご腕の男ジャッジメント・ラッカーが、ついに野獣退治に立ちあがった!一方、鬼畜のような夫の追撃をかわし、娘を連れて逃走の旅に出た美貌の女性ダナ。このヒーローとヒロインの運命の出会いが、いままたあらたな殺戮の嵐を呼びおこす!ホラー界の最終兵器リチャード・レイモンが、この1作で斯界を激震させた、幻の傑作。衝撃の結末へ向け、強烈なエロスとバイオレンスが暴走する。

B級ホラーを連想させるタイトルの予想を違わないエログロバイオレンスがこれでもかというくらいに満載された作品。
ストーリーが進むに連れ、血やらゲロやら肉片やらの濃度が濃くなっていくので、そういうのが苦手な人は読まない方がよろしいかと(そもそもタイトルで忌避するか)。テンポのいいストーリー展開を楽しめた私はたぶんどっかおかしいので。


物語としては、70年もの間、館に侵入する者を殺戮してきた野獣とはいったい何なのかという謎と、鬼畜な元夫・ロイからの逃げる母子・ダナとサンディの逃走劇が軸になっています。
野獣の正体については、追々細かい描写はあるものの、はっきりしません。まぁ比喩じゃなくてまさに化け物と言うかbeastそのもの。刑務所出たばかりのロイは元・妻子を追う道すがら殺しまくり犯しまくりの中身がまるきりbeastそのもの。*1
彼らのせいで少し影が薄くなってしまった感があるのが、我らが主人公(のはず)・ジャッジメント(ジャド)・ラッカー。特殊部隊あがりの名に恥じない活躍は終盤に見られるのですが、緊迫した場面でのジャドとダナのいちゃつきっぷりはちょっと突っ込みたくなりますね。おまいらそんなんで野獣退治できるのかと。


そんで衝撃のラスト。あれ?と思ってページを戻って読み直しましたよ。そう来たか。
一部の鬼畜もの好きな人には受けるだろうけど、決して一般受けはしないだろうなぁ。

*1:でもこいつの最期は見ものですけどね。