2期・79冊目 『ドイツ史10講』

ドイツ史10講 (岩波新書)

ドイツ史10講 (岩波新書)

内容(「BOOK」データベースより)
ゲルマン世界、神聖ローマ帝国宗教改革、絶対主義、二回の世界大戦…二千数百年の激動の歩みを、一講ずつ、要点を明確にして、通史的に叙述。中世的世界、大学や官僚と近代化の役割など重要なテーマに着目しつつ、つねに「ヨーロッパの中のドイツ」という視点から描き、冷戦後の統一ドイツの位置にも新たな光を当てる。

フランス史に続いてドイツ史を読んでみたのが良かったのかもしれない。中世から第1次世界大戦にかけて仏・独2国の大陸の覇権を争う背景が比較的すんなり理解できたので。
それにしても元は同じフランク国から分かれたのに、隣国フランスとはここまで違う歴史を歩み、民族気質や政治体制に対する考えが違ってくるとは興味深いものです。
更に神聖ローマ帝国の変遷を知ることで、形的には大国であっても領邦君主達の権限が強かった内実*1や、近・現代のドイツが東方に生存圏を目指した理由が理解できました。
やはり通史を知ることで因果関係がわかるのはいいですね。
反面、『フランス史10講』と同様に端折る部分が多く、深く理解するには専門書が必要になりそうです。


更に筆者が自ら経験したエピソードを披露してくれるのが面白く、読者にとってドイツを知るための手がかりになります。
意外と知らなかった東ドイツならびに統一後の歩みを知ることが出来たかったのは良かったし、ドイツの歩んできた歴史がヨーロッパ・モデルとして参考になるとの意見は新鮮でした。


それにしても、たぶん若い頃には読む気はしなかったろう今回の2冊ですが、今読むと断片的にしかなかった知識が、まるで点が線で結ばれていくように関連付けて歴史を知ることができて良かったです。

*1:一口に帝国・皇帝と言っても、時代や地域によって本当に様々です