2期・32冊目 『超音速漂流』

超音速漂流 (文春文庫)

超音速漂流 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
誤射されたミサイルがジャンボ旅客機を直撃した。機長は死亡し、乗客が酸欠により凶暴化するなか、無傷の生存者たちは必死で生還をめざすが、地上では事故の陰蔽のために生存者もろとも機を墜とそうとする計画が進行していた。82年に出版され、今や古典となった航空サスペンスの名作が、全面的加筆を施され、決定版として登場。

長編ですが、最後まで目が離せない展開。
小型機の操縦経験しか無い主人公が、最新鋭のハイテク・ジェット旅客機を操縦する羽目になり、頼りになるのはスチューワーデスほか数名の乗客だけ。
あらすじにもありますが、よくぞここまでと思うほど悪条件が重なる状態に追い詰められて、悪戦苦闘するさまが見どころです。
いったん飛行機で危機に直面すると、やはり死を覚悟せざるを得ないですよね。そういう面で登場人物の家族への思いも切なく描かれていますね。


さて、何とかして飛行場まで操って生還を目指す主人公達に対して、まさに悪役というか、ことごとく邪魔をする2人の人物がいます。いずれも利己心も強いですが、自分の属する組織の為の行動が印象深いです。
世に出る不祥事の多くは、こういった人物が関わっているんじゃないかと。
中盤から終盤にかけてこの2人がくどいほど策をめぐらすのですが、最後はあっさり降参するあたりが、フィクションだなぁと思ったり。個人的には、飛行機を救おうとする人たちの活躍をもっと描いても良かった気がします。


ちなみに、読んでてハリウッド映画っぽくも感じたのですが、映像化はされてないのですね。小説が書かれた当時ならともかく、今ではパニック映画は多く作られて、目新しさが少ないからからかなぁ。