12期・55冊目 『食い詰め傭兵の幻想奇譚4』

食い詰め傭兵の幻想奇譚 4 (HJ NOVELS)

食い詰め傭兵の幻想奇譚 4 (HJ NOVELS)

内容(「BOOK」データベースより)

依頼の失敗が続き気落ちするロレンを気遣って、ラピスは倒した敵を報告すれば完了になる討伐依頼を勧めることに。そして道中穏やかに済むはずもなく、案の定盗賊団に出会ってしまうロレンたち。盗賊団から助け出したエルフの少年からはまた面倒事の匂いがしていて―。これは、新米暴険者に転職した、凄腕の元傭兵の冒険譚である―。

書籍化において、3巻と4巻にはとても大きな壁があると言われますが、無事に4巻が刊行されたことはめでたいですね。


食い詰めた末に冒険者になったものの、3巻まで立て続けに依頼失敗が続き、落ち込むロレン(とはいっても彼でなければ生き残ることさえ難しいハードな内容になっているんですが)。
そこでラピスの提案により、依頼ではなく街道を離れた場所での魔物の討伐に赴くことになりました。
しかし、最初の宿にする予定の宿場町が到着寸前に大規模盗賊団に襲われて焼け落ち、今回もロレンの不幸ぶりがいかんなく発揮されてしまいます。
もっとも、ノーライフキングの権能を持ったシェーナがアストラル体となってロレンの中に居候していることを明らかにし、人目を気にせず3人(?)の力を発揮すれば百や二百の盗賊団など物の数ではないということで、宿とベッドの恨みをそこで晴らしたのでした。
アンデッドに襲われた盗賊たちが全滅した後で戦利品を見聞していたラピスが見つけたのが拉致されたと思しきエルフの子供。
ちょうど、魔物討伐の目的地である”黒の森”はエルフが住まう場所であることも知られており、ついでなのでその子を連れて森に入ろうとしたロレンたちは森の生き物たちに異変が起こっていることに気づくのでした。


ごく普通に冒険者として生活の糧を得て、借金を返していきたいだけなのに、毎回とんでもない目に遭う、不幸巻き込まれ体質が板についてきたロレンと見た目の清楚さとは裏腹にずいぶんと腹黒さが認知されてきたラピス。ヒロインならぬ”ヒドイン”です(笑)
ロレンにとっての癒し枠はシェーナにほぼ決まりのようです。エナジードレインという極めて優秀な支援もできますし。
今までゴブリンにゾンビにスライムと、気持ちが悪い敵がとんでもない量で襲ってきたのを潜り抜けてきましたが、今回に限って、本来はとても愛らしい容姿のはずの妖精が血まみれ食人鬼の大群と化して襲いかかってくるというのが怖いですね。
ボスはひたすら気持ち悪いというか、グロいというか・・・。
妖精の長なのに、どうしてああなった?
それで異変の原因については気づかず邪神と同一化してしまった影響というわけで、終盤に登場したのが暴食の邪神グーラ・グラトニー。
原作の方ではロレン、ラピスのパーティに加わり、いろんな意味で馴染み過ぎていましたが、登場時はこんな感じだったんだなぁと感慨しみじみ。*1
3巻での”怠惰”に続いて今回の”暴食”グーラも逃げだしたけど、今後ロレンに関わってくることは次巻以降に書かれるのでしょう。
ビジュアル的にグーラは見るのが楽しみでしたが、絶対見たくない邪神が一柱いるんですよねぇ。果たしてどうなることやら。

*1:見た目は普通に美人なのに、最近の扱いはいろいろと酷い(笑)