10期:15,16冊目 『邪教集団トワイライトの追撃(上・下)』

邪教集団トワイライトの追撃〈上〉 (扶桑社ミステリー)

邪教集団トワイライトの追撃〈上〉 (扶桑社ミステリー)

邪教集団トワイライトの追撃 (下) (扶桑社ミステリー)

邪教集団トワイライトの追撃 (下) (扶桑社ミステリー)

内容(「BOOK」データベースより)
冬なお暖かく、陽光あふれるカリフォルニアのコスタメサ。買い物を楽しむクリスティーンとジョーイの親子に、怪しげな老婆が突然まとわりついてきた。その場は逃れたものの、妖婆グレイスと、彼女が率いる謎の新興宗教〈トワイライト=黄昏教団〉の狂言者たちは、六歳の少年ジョーイとクリスティーンを脅かす。グレイスはジョーイこそ、悪魔が地上を支配するために遣わした〈反キリスト〉だと、信じているのだ。クリスティーンは私立探偵チャーリーに護衛を依頼したが、追跡者たちは、ジョーイの愛犬を殺し、ボディガードを殺し、家を焼いて執拗に迫ってくる―。日本でも人気爆発、娯楽小説の王者クーンツが放つ「読み出したら止められない」迫真の大型サスペンス追跡小説。

可愛い我が子が変な人に目を付けられ、危害を加えられそうになったら・・・?
親にとっては悪夢としか言いようがないですが、住民同士が知り合いというような小さな町とか余程運が悪い場合を除けば、通常は目を付けられた瞬間が最大の危機であり、大概はその場から逃げることで難を逃れられるでしょう。
それがクリスティーンとジョーイの親子が目を付けられたのは単なる気がふれた老婆ではなかったのです。
よりによって千人規模の信者を持つ新興宗教〈トワイライト=黄昏教団〉の教母であったグレイスはジョーイこそ悪魔が地上を支配するために遣わした〈反キリスト〉だと信じこみ、その抹殺が自分たちに課せられた使命だと断固行動し始めたから大変。
その夜自宅周辺には怪しい影が出没、そしてジョーイの友人にして忠実な僕だった飼い犬ブランディが殺されてしまうのです。
いつの間にか自宅が突き止められ、あの老婆が本気でジョーイの命を狙っていることを確信したクリスティーンは警察を頼るも証拠に乏しい状況では完全に信用されません。
そこで探偵社を営むチャーリーに護衛を依頼するのですが、法を破ることに躊躇しない教団は暗殺者を派遣。深夜押し入られて、ボディガードが犠牲になってしまいます。
命からがらその魔手から逃げ延びた親子はチャーリーとともに安全なはずの隠れ家に移るのですが、どこに逃げてもグレイスの部下が追ってくる。終わりの見えない逃避行の旅が始まったのです。


最初なんだこのタイトルは?と思ったものですが、確かに逃げても逃げても正確に居場所を突き止め、執拗に追いかけてくる教団の追撃の手は悪夢としか言いようのないものです。
特に子を持つ親としてはヒロインであるクリスティーンの恐怖はよくわかる。それでもギリギリのところでもちこたえる様につい応援したくなってしまうのです。
一方で神の僕と自負しているグレイスらがこの中では悪魔のような存在のように思えてしまうのは、彼らにとって不本意でしょうが(笑)
探偵チャーリーが親子を守る守護者として活躍、ついでにクリスティーンとのロマンスもあって楽しませます。
しかし最終的に隠れ家に選んだ冬山の山荘も見つかってしまい、その戦いのさ中でついにチャーリーも撃たれて重傷を負ってしまう。
果たして絶体絶命の危機でどうなってしまうのか?
最後の最後まで見逃せない展開の連続。おまけにちょっとしたミステリまで用意してくれてました。
グレイスがなぜ三人の行方をいつも正確に掴めたのか?
それが最後まで気になったのですが、クライマックスでジョーイの秘めた能力(?)に絡んでくるあたりが心憎い演出でしたね。
果たして正しかったのはどちらか?
どちらとも取れるけど、そのあたりをはっきりとさせないままの明るいハッピーエンド。こういうのもアリかなと思いました。