- 作者: 田中芳樹,丹野忍
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/10/07
- メディア: 新書
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内容紹介
中世ペルシアによく似た異世界の英雄物語――「アルスラーン戦記」シリーズ第13弾!
王都へ向かう女騎士・エステルの一行が雨のため足止めされた町に、魔軍が襲来する! だが、窮地に現れたのはパルス精鋭軍であった! そこには軍師・ナルサスの恐るべき策謀が・・・・・・。ついに十六翼将が並び立ち、大いなる恐怖が再臨する、瞠目の書き下ろし最新作。
やっと出ました新刊。約2年ぶりということで前の内容は結構忘れてしまっていたので、事前に前巻のレビューを読み返したり、ウィキペディアを読んで復習してました。銀英伝ほどではないけど、登場人物が増えてきたしなー。
今回書かれた内容はだいたい以下の通り。※順不同。
- デマヴァント山に迷い込んだトゥラーンの若者による視点から蛇王の復活。
- アルスラーンのもとへ向かう女騎士エステルやドン・リカルド改めパラフーダたちの一行。
- 相変わらず続く蛇王の眷属との戦いとペシャワールを巡るナルサスの戦略、十六翼将など。
- ミスル国を手中に収めた客将軍クシャーフル(ヒルメス)。
物語としては繋ぎ的ではありますが、メインは副題にもある蛇王の復活と、十六翼将の勢ぞろいってところでしょうか。前巻でそろそろやばいと思っていたのですが、やっぱりというか重要な人物が2人退場となりました。
うち女性に関しては、銀英伝におけるキルヒアイスの如く主人公の心に影を落としそう。少なめの重要女性キャラを死なせることはないのにとは思いましたがね。
それでも登場人物たちがそれぞれの思惑で動き、複雑な世界観を紡ぎだしていく展開を味わせてくれるのはさすがと言えるでしょうか。
しかし、こんなことを言っては実も蓋も無いのですが、貴種流離譚は落剥からの再興を描くまでが一番面白いのであって、テーマが王となったアルスラーンの治世と魔軍との対決に変わってからは、昔ほど楽しめないような気がするのですね。*1歴史好きとして、国同士の争いや駆け引きといった記述は嫌いではないですが、お話をすっきりまとめるにはアルスラーンが王位に就いた後、そのまま怒涛の如く魔軍との決戦に持ち込んでも良かったかも、と勝手なことを言ってみる。まぁ昔仕込んだ伏線を生かすために色々と書くことはあるのでしょうが。*2
まあその、なんだかんだ言っても続編が出て読めることは感謝したいですね。