68冊目 『海軍士官候補生』

架空の存在でありながら実在の人物以上に名が知られ、鮮やかに心の中に息づいている人物。解説では日本で言うと鞍馬天狗に例えられていますが、確かに日本ではほぼ時代劇の主人公たちが当てはまるのかもしれません。
ちょっと違うかもしれませんが、アニメの『宇宙船巻ヤマト』の古代進や『機動戦士ガンダム』のアムロやシャア、それからルパン三世と言った方が私なんかの世代はわかりやすいかも。


テレビドラマにもなったいわゆるホーンブロワー・シリーズの主人公、後のロイヤル・ネイヴィーの提督・ホレイショ-ホーンブロワーが、士官候補生として海軍に入ったところから始まる時系列的に最初の作品です。


かつて第2次世界大戦を扱った海戦ものは結構読んでいた方だと思うのですが、外国ものはなぜか敬遠してばかりで、このままでは良くないと手にした次第です。
ページを開いてすぐに帆船(フリゲート艦)の概念図があり、部分ごとに名称が記せられています。最後には用語の解説も付いています。
確かに物語の進行上、船の操作は切り離せないので、帆船の概念がある程度知ってないとわかりにくいですね。


それでも時代が変わっても、乗組員の錬度や艦長の判断で船の運命が変わること、風や波や天気といったまさに自然との戦いであること、という船の上の具体的な様子がよくわかる作品です。
あと、イギリス人から見たフランス人やスペイン人のイメージが何となく掴めるのが興味深いです。
徐々に続けて読んでいきたいシリーズだと思いました。