久しぶりに古本屋に行ったら、このあいだ『ブルボンの封印』で読んだ藤本ひとみの著作があったので、買ってしまいました。
最近、歴史物が多かったので、たまにはミステリもいいかなと。
連続強姦殺人事件の犯人を県憲兵隊*1のアニエスと、捜査に協力することになった鑑定医シャルルが、犯罪心理の面から追っていく物語です。
犯人逮捕に固執するアニエス・冷めた口調でしかコミュニケーションが取れないシャルルといった人物の心情は丹念に描かれていますし、最後に読者の裏をかく真犯人像と、歪んだ家族間の愛憎が全ての根源であったというあたりはうまく書かれているなと思います。
ただ異常犯罪を取り扱ったわりには、何だかあっさりした展開で、個人的にはもっと犯人および犯行の背景は緻密に書かれていた方が好みですね。
*1:おそらく日本の県警に相当するらしいです