『孤宿の人』上・下

孤宿の人 上 孤宿の人 下
作者: 宮部みゆき
出版社/メーカー: 新人物往来社
発売日: 2005/06/21
メディア: 単行本

先週読み終わった本があったので、読書レビューなんぞやってみよう。
人の参考になるレビューになるような自信はないが、読後すぐの気持ちを整理して残してみたいと思った次第。


分厚いハードカバーの上下2冊。去年暮れより読み始め、実質7日くらいかかって読み終わった。時代劇長編である。今までの霊験お初シリーズや短編集などの今までの時代劇とはちょっと印象が違う。宮部みゆき氏の著作(特に現代物)の中には、劇的な展開にぐいぐい引き込まれるものがあったが、本作は淡々と時が進んでいき、悲しい結末の中に一片の救いがある、という感じである。人によっては前半は少し退屈するかもしれない。


テーマは人の心である、と勝手に解釈。人のことを鬼と恐れたり、慕ったり、憎んだり・・・そしてそういった感情を利用した様々な駆け引き。全て人の感情がもつれ合った末に出来事は起こっていく。将軍家斉というから江戸時代も後半にさしかかったころであるが、その時代の登場人物たちのやり取りは全く自然で、その辺は他の時代劇と同様、見事だと思う。武家言葉だけでなく、子ども・女中の言葉や生活周辺に細かい描写があるのはよほど研究しているのだろうと思わせる。


「無垢な少女と、悪霊と恐れられた男の魂の触れ合いを描く」と本の紹介にある。現代風に例えれば、凶悪犯が人質となった少女の純粋な気持ちに心を癒されて・・・みたいなストーリーを予想しがちだが、ちょっと違う。どこが違うかは読んでみないと理解できないと思うが、結果的にこの出会いによって、お互いに救われたというか前向きになれたということなのかなと思った。


うーん、いざ書いてみると、うまく書けない・・・。レビュー書きにくい本なのか?いやきっとそれは自分の語彙の少なさとか文章の拙さに原因があるのだろうな。。。orz