最近読んだ漫画(10〜11月)

久しぶりの漫画レビューです。と言っても今まで読んでいたタイトルの続編ですが。

チェーザレ―破壊の創造者』5巻

チェーザレ 破壊の創造者(5) (KCデラックス)

チェーザレ 破壊の創造者(5) (KCデラックス)

出版社 / 著者からの内容紹介
初めての実戦。最後の青春。
中世の大学、そこは政治の縮図。イタリアの支配を巡り対立するスペインとフランス。ピサとフィレンツェの歴史的遺恨も再燃。名門大学は模擬戦という名の代理戦争に沸く。そしていつの時代も、若さは血を求める――。

前巻から引き続き庶民の祭りにお忍びで参加しているチェーザレ、彼を付けねらう暗殺者の正体は?そして山場である模擬戦を最後に大学時代は終わりを告げるのが5巻の内容です。
相変わらず(架空の人物であるはずの)アンジェロが狂言まわしにしては美味しい役を演じて、もはや彼無しには物語りは成り立たないと思う気がするのです。主役であるチェーザレについては、アンジェロと通して頭脳明晰かつ冷静沈着で大人びているが、時には感情的になって年相応の無邪気さが同居する複雑な人格が垣間見えます。
それにしても毎回、巻末には時代背景と用語解説(今回は大学と騎士が中心)があって、漫画として読みっぱなしにせず知識として吸収できるのがいいですね。

へうげもの』6,7巻

へうげもの(7) (モーニング KC)

へうげもの(7) (モーニング KC)

出版社 / 著者からの内容紹介(7巻)
茶の湯と物欲に魂を奪われた戦国武将・古田織部。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千利休から深遠な精神性を学び、「へうげもの」への道をひた走る。山上宗二の死。伊達政宗との遭遇。小田原征伐に従軍した織部の運命が揺れる。生か死か、武か数奇か、それがますます問題だ!!

時代的には豊臣秀吉の天下統一事業が進んだ1580年代後半。
「戦」や「政」よりも「美」の文化的側面から描く戦国漫画。茶器だけでなく、主人公の目を通して甲冑類や建築物まで論じているのがとても興味深い内容となってます。
戦での功を諦め、文化人として天下に名をあげんとする古田織部の工夫努力が熱い!時々そのひょうげぶりには呆れるけれど。
脇役の武将の描写も歴史漫画っぽくなくて笑えます。加藤清正福島正則もそうだけど、まるで歌舞伎役者のような伊達政宗はなんなんだ(笑)
そしてこの時代は茶の湯の巨人・千利休(宗易)を抜きにして語れず、やはり作品内でもその存在は光ってますね。この人は堺の商人出身ということと、秀吉との蜜月との後、勘気を被って処罰されたとされていますが、謎も多い人物です。
侘びさびを巡る弟子の織部との関係、茶頭として重用される様を危険視する石田三成*1、と目が離せない展開が続きます。

学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』5巻

内容紹介
巨大国の長距離ミサイルによる電磁パルス攻撃は、街を奴らで溢れかえさせた。奴らが侵入してこない安全な立てこもり場所を求め、小室たち一行はショッピングモールに避難するが……!?

なんとかショッピングモールへの避難に成功した主人公・小室たち一行だが、そこの秩序も危うい状態だった・・・。
今回は<奴ら>とのバトルは控えめ。その代わり小室たちの人間模様がメインになっていますね。前回から経緯で小室を巡る冴子と麗の三角関係(?)がそうなんですが、むしろメインは妙にこの世界に馴染んで格好良さが増してきた<オタク>コータでしょうか。ショッピングモールの頼りないリーダーの婦警・あさみを影ながら助けたことで迫られてしまう(笑)
そして非常事態に現れる人間の本性も相変わらず容赦なく描かれてます。強大な敵の存在で初対面の人同士でも協力できることもあれば、極めて利己的になることもあるという2面性があるのですねぇ。
何はともあれ、この原作者で5巻が出たことがまず喜ばしいことです。

*1:あくまでも擁護する秀長の体調悪化と共に徐々に利休の立場に影が指してきている