壬生一郎 『信長の庶子四 関ヶ原夜話』

信長の庶子 四 関ヶ原夜話 (ヒストリアノベルズ)

信長の庶子 四 関ヶ原夜話 (ヒストリアノベルズ)

  • 作者:壬生一郎
  • 発売日: 2020/05/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

内容(「BOOK」データベースより)

織田信正―通称帯刀。一部の史料にしか名を残さず、一般的にはその存在を認められていない織田信長の“幻の長男”である。弟の家臣として生きることを選び、村井重勝と名を変えた彼は、戦場で、内政で、獅子奮迅の活躍。織田家は再び、攻勢にでた。存在しないはずの“幻の長男”は、日本の運命を大きく変えていく―!!“本能寺の変”が起こる天正十年まで、あと十二年。

すでに完結していますが、「小説家になろう」の歴史ジャンルでは今もって一番好きな作品です。
一,二巻連続刊行の後に間が空きましたが、コロナ過においても無事四巻が出版されて良かったです。

まず今回の目玉は第三次長島攻略戦。
そして百地丹波を味方に引き入れた帯刀(庶長子としての名乗りは織田信正村井貞勝に養子入りしてからは重勝)による伊賀攻略です。
長島一向一揆殲滅は史実よりも2、3年早まっているし、強硬策より調略を取ったことによって史実で二度に渡った天正伊賀の乱を起こすことなく平定できました。
史実の伊勢・伊賀平定では戦下手な信雄がやらかしているところを帯刀に任されたことで巧くいっている様子が描かれますね。
信長が感謝するのも当然で、家督は譲れなくても子世代の中でも一番に頼りにするのはわかります。
また、冒頭では加賀の一向一揆に端を発した混乱において、浅井直政が北上。勢いのままに越前を攻略して朝倉氏が滅亡。
後半ではなんと武田信玄上杉謙信が和睦するという椿事が描かれました。
これも史実よりも早期に伊勢・伊賀・近江が安定して本願寺の勢力が弱まり、織田家の勢力が増した関係でしょうか。織田・徳川に加えて浅井との同盟も継続していますし。
ただし、久政には帯刀が直接対決して裏切りのけじめをつけさせたところが最後のみどころとなりました。
もう一人の転生者とパラレルワールドを示唆しつつも、リアリストの帯刀が一刀両断したところが心地よかったです。

また、帯刀とその母・直子が潤滑油となって、信長と信重(後の信忠)、信雄、信孝を始めとする織田家の仲良しぶりが描かれるのが微笑ましいですね。長島を始めとする戦いで係累が次々と討たれていっただけに。
それに帯刀と直子といえば、現代風の食事を可能な限り再現して、食している描写がたまらない。極めつけは織田信長の誕生会をしてしまったことでしょうか。
フルーツケーキもどきや果実酒には信長もご満悦です(笑)

さて、反撃が功を奏して勢力安定に繋がりましたが、本願寺を追い詰めるための公開論争が次巻で描かれるようです。
多くの戦国大名が苦労してきた武装宗教勢力。信長にとっては最難関の敵である本願寺をいかに料理していくかがみどころです。
それと、今のところは同盟を組んでいる武田との間が不穏な情勢。
史実と違い、東美濃には直子が赴くのがどう関係していくのかが気になります。

ボリュームある書き下ろしの章は小早川隆景でした。
織田家との完全対決前にして、北九州にて大友との激しい戦を繰り広げている時期。
尼子を下して勢いに乗る毛利と九州における最大勢力となりつつある大友。
織田家が西方へ伸長していけば、まずは毛利と対決するのは火を見るより明らか。
概ね史実に乗っ取った描写ながら、将来的に帯刀と隆景による智謀対決を予見させるような終わり方でした。

『天気の子』 / 『ペット・セマタリー』

新旧対照的な2本の映画を観ました。

『天気の子』

言の葉の庭』『君の名は。』に続いて新海誠監督の最新作品です。
始めに書いておきますと、前作『君の名は。』ほどの衝撃は受けませんでした。
君の名は。』は終わった直後にもう一度観たい気持ちが湧いてきたのに対して、『天気の子』はちょっと薄いというか、もう一度観ようかどうしようか迷っているところです。*1
決して悪かったという意味ではないです。
今回のテーマは天気ということで、映像の迫力と美しさには前作以上に圧倒されました。
天気とは人間がコントロールできる事象ではなく、うつろいやすくて、それでいて人々の生活に密接に関係していることを改めて考えさせられます。
ボーイ・ミーツ・ガールのボーイ(穂高)のひたむきさ。*2 ヒロイン・陽菜の可愛らしさ。それに主役2人に負けないくらい身近なキャラクターも良かったです。
特に小学生らしからぬ大人びた凪(陽菜の弟)、冒頭で穂高と出会った須賀圭介と夏美の叔父・姪コンビ。その3人がいたからこそ、主役2人が輝いたと思います。
クライマックスで穂高が陽菜に会いにいくべく、廃ビルを駆け上がっていく様は胸アツでした。

新海誠監督は主役男女に大きな障害を持たせるのがお決まりらしく、『君の名は。』では時間と距離と記憶の消滅、『言の葉の庭』では立場と年齢差(プラス天候か)でした。
本作においては陽菜の神隠しに加えて穂高が警察に追われることになりました。
その逃走する場面が盛り上がりに彩りを与えていました。追う高井と安井の両刑事のキャラも立っていましたね。
ただ、ストーリーのテンポに優れていて、最後まで時間を忘れるくらいに没頭してしまった前作と比べると、本作は後半で若干の間延び感があったのは否めないです。
100点満点でいえば、『君の名は。』が95点くらいで、『天気の子』が85点くらい。
もっとも、一緒に見ていた娘は私とは逆の意見でした。
そのあたりは個人の感覚の違いもあるでしょうね。
ちなみに『君の名は。』の主要キャラ5人が登場することは前もって知っていましたが、穂高との会話シーンがあってわかりやすい立花瀧宮水三葉はともかく、テッシー(勅使河原 克彦)とさやちん(名取 早耶香)は後ろ姿ということも確証がもてませんでした。エンドロールでやっぱり出演していたことに気づけましたが。
四葉も一瞬でしたが、髪型で気づけました。
そういえば、終盤で陽菜の実年齢が判明。穂高は年下じゃなくて逆に年上なのがわかりましたが、陽菜・凪の姉弟にいつまでも頭が上がらないような気がしますね(笑)





『ペット・セマタリー』

スティーヴン・キングの原作を読んだ時の記事を探してみたら、もう10年前になりますね。
『ペット・セマタリー』(上・下)
小説の刊行、映画公開ともに1980年代なので、車や電話など時代がかった感じはします。
あらすじとしては原作をほぼ踏襲しているようで、都会(シカゴ)から田舎の一軒家に引っ越してきたルイス(父)・レーチェル(母)、それにエリーとゲージの姉弟の一家です。
向かいのジャド以外はすぐ見える範囲に家がないくらいのど田舎のようです。
しかし、2軒の間を走る道路は近くにある会社のトラックが猛スピードで走るのに、ブロックなど何もないのでかなり危なっかしいです。
実際に町では飼っていた犬や猫は度々轢かれて死に、森の中には共同のペット墓地*3があるという。
ペット以外に小さな子供だって轢かれる可能性があります。
現に危ないところをジャドが救っているし。
早くも冒頭から危うさを感じてしまいましたね。
せめて庭の前を囲うように柵を作らないのかと思うのは時代と環境の違いでしょうか。

結果的に飼い猫が轢かれて死んでしまい、可愛がっていたエリーに同情したジャドがペット墓地のさらに奥にある秘密の場所に死骸を持たせたルイスを案内する。
それが悲劇の始まりだとは思わずに…。

死をなかったことにしたいという気持ちはわかります。
ましてや子供を失った親の立場であるならば。
ただ、最初に猫を蘇らせた(生き返らせたとは思えない)ら凶暴化していたこと、ジャドが語った過去のケースから、本来とはかけはなれた存在に化けてくるのはわかったはず。
それでもタブーを冒してしまうのが人間の弱さなのでしょうか。
心理描写という面では小説の方がじっくりと描かれているのですが、映画の中でも一見冷静そうに見えるルイスが徐々におかしくなっていく様は伝わってきました。
蘇ったゲージの暴れっぷりがかなりのもので、まさにホラー映画ならではでしょうか。
急患で結局死んでしまったはずのヴィクターが唐突に起き上がってきたり、その後も度々出て来るのには驚きを通り越してユーモアさえ感じますが、実は彼は忠告を与える立場。それにエリーも夢でルイスが悪いことをしようとしているのを感じて幾度も止めようするあたりが健気です。
ルイスが残された家族を大事にする気持ちが強ければ悲劇は回避できたのに、目の前で息子を亡くしてしまった悔恨が強すぎたのかと観た後に思いましたね。
やはり、怖いというより悲しい物語でした。


実は2019年にリメイク版が作られており、そちらは後半の展開がだいぶ違うようです。
それはそれで期待できそうなので、いつか観てみたいと思います。

*1:と書きつつ、やっぱり観てみるつもり。

*2:家出の理由は明かされていない。島では顔に傷を負っていたから喧嘩やイジメの可能性も考えたけど、行方不明届が出されたことに驚いたあたり、家族との確執かな。

*3:"PET CEMETERY"だが、子供が書いたので綴りを間違えて"CEMATERY"になっている。

加納新太・新海誠『君の名は。 Another Side Earthbound』 / 葉月奏太『君の縄。』

先月末にレンタルで借りた『君の名は。』が素晴らしかったことを記事を書きました。
http://goldwell.hatenablog.com/entry/2020/05/31/131801
2回観ただけに飽き足らず公式の外伝というべき文庫を買ったのですが、流行当時ネタとしては知っていた”君の縄”をそのままタイトルにしてしまった官能小説をamazonで見つけて意外に評価が高いことでつい勢いで買ってしまいました。
ということで、中身は関連ないけど2作品続けての感想です。



君の名は。 Another Side Earthbound』

概ね、映画本編では短く略されていた場面を補完する内容となっています。まさに『君の名は。』の世界をより楽しみたい人向け。

第一話 ブラジャーに関する一考察
宮水三葉の身体に入れ替わってしまった立花瀧視点の話。
おそらく1,2回は入れ替わりを経験し、夢ではなく現実と認識した時点。
映画では真っ先に胸を揉み、鏡を見て驚く場面が印象的であったけれど、実際に異性の身体に入れ替わった本人からすると、話す言葉から身体の動かし方から服装髪型まで、何一つ取ってもいろいろと大変だよねってことが細かく書かれています。
そこから新たな禁止事項「マイケル禁止」*1とか、イケてる(と本人たちは思っているけど瀧からすれば全然垢ぬけていない)3人へ言い返したこと。
本編でもあったノーブラ・バスケの後、仕方なくブラジャーを苦労して装着する(ちゃんとホックが付けられてなくて、早耶香に直される)。
入れ替わり時のギャップで周囲の目が変わったことで、瀧は三葉の人となりについてまで考える。
そんなエピソードの一つ一つが映画前半の重要な要素である入れ替わりを細かく補足してくれて、同じ男性目線として納得がいったし、とても楽しかったです。

第二話 スクラップ・アンド・ビルド
宮水三葉名取早耶香の幼馴染である勅使河原克彦が主人公。
彼は地元に根付いた土建屋・勅使河原建設の長男であり、跡を継ぐことが確実。
こんな狭くて濃い町から飛び出したいと言い切る三葉・早耶香にもやもやすることもあるけど、決定づけられた将来に納得していない描写がありましたね。
さらに父親が現職町長と癒着している様をむざむざと見せつけられたら、潔癖症ではなくても若い克彦にはたまらなく感じてしまう。
それでも地元である糸守町が好きだから、なんとかしたいと思うが、どうすればいいのかわからない。
そこで刺激を与えてくれたのが克彦曰く”狐憑きモード”(瀧に入れ替わった)の三葉。
映画本編ではたった数秒しか映らかなったバス停のオープンカフェ作りを通じて、克彦と三葉の中の瀧がわかり合えたところが良かったですね。
それゆえに本編ラスト後にもしも克彦と瀧が出会うことができたら気が合うんじゃないかと思えるのでした。

第三話 アースバウンド
三葉の妹・四葉の視点。
本編でもわざわざ姉を起こしにきたり食事の支度をしたり。小学生4年という設定の割にはかなりしっかり者の四葉からすると、素の三葉は「うすらおかしい」という印象なのが面白い。
さらに入れ替わってからは拍車がかかって「ヤバイ」ところを身近で目撃してしまったのだからもう大変。まぁ、中身は男なんだから仕方ないのだけど(笑)
近頃の変化や独り言から、姉に彼氏ができたと早合点した挙句、地元の事情的に同級生や大学生ではなく、単身赴任のおっさんだと勘違いするあたりがユーモラスです。
そりゃまぁ、一番身近で見ているのだから、その豹変ぶりに悩むのも仕方ないでしょう。
それとわりと重要なのが、四葉が出来心で自分の口噛み酒を飲んでトリップしたところですね。
1000年以上昔から代々糸守の地を収めてきた宮水の一端が描かれていたのが良かったです。

第四話 あなたが結んだもの
彗星の欠片が糸守に落ちて500人もの死亡者を出す大惨事の前に町民を避難させようと詰め寄る(瀧入り)三葉と対面後の俊樹の追憶から始まります。
彼が大学の民俗学者であった時期に宮水神社に訪れて、二葉と出会うのですが、その時の二葉の言葉が運命的でいいですね。
本編では口噛み酒トリップした瀧が三葉の記憶でしか描かれなかった父・俊樹と母・二葉ですが、こちらは俊樹がいかに家族を大切に想っていたかがわかり、映画とはがらりと印象が変わります。
宮水の血筋の中でも特に神がかっていた二葉が病院の治療を拒否し、「あるべきようになるから」「これが別れではないから」といった言葉を遺して死なねばならなかったのか。妻を亡くした俊樹が決意を心に秘め、家を出ていく形で町長になったのか。
さらに映画本編の大きな謎でもある、最初は(入れ替わりの)三葉の言葉を信じなかった俊樹がなぜ避難指示を出したのかの答えとなります。
映画の中ではハラハラさせられた土壇場でしたが、俊樹の胸中がまことに納得のいく形で描かれていますね。
最後が特に映画本編を補完している内容であるなぁと思うのでした。
個人的にはラストの後もいろいろと妄想が捗るものですが、そのあたりは二次創作で補うのでよしとすべきでしょうね。




『君の縄。』

君の縄。 (二見文庫)

君の縄。 (二見文庫)

友成純一を始めとするエログロ・バイオレンス小説や官能小説ばりに濡れ場の多い現代or時代小説も数多く読んできました。比較的最近では冲方丁『破蕾』鎌田敏夫『里見八犬伝(上・下)』あたりですね。
そんな私ですが、官能小説だとわかっていて読んだのはずいぶん久しぶりな気がします。
タイトルの読みが『君の名は。』と被っていますが、中身はまったく別ものです。

主人公は新入社員である三山志郎。
先輩女性社員(美由紀)や課長によるパワハラじみた言動。それに得意先の厳しい女社長(麗華)に気を使う日々を送っています。
それが、ある日を境に態度が激変します。
それどころか、美由紀と麗華が志郎に優しくなるのを通り越して迫ってくることに。
志郎本人は近所の幼馴染である夏美に想いを寄せているのに、奥手なので何もできず、美由紀・麗華に迫られるままに童貞を卒業して身体の関係になっていく展開です。
ここまでは主人公が都合よくモテたんだなと思うだけですが、ある日突然、前のような厳しい態度に戻ってしまっている。あれほど熱く交し合ったことなど無かったかのように。
その理由と幼馴染との関係が気になる流れですね。

わかってみれば、さほど捻りがあるわけではないですが、それでもエロティックなだけでなくストーリーも楽しめました。
タイトルの縄については最後の方に登場します。
確かに縄は縄だな、と苦笑いしました。
最後はハッピーエンドとなりましたが、モテモテになる引き換えのデメリットが怖いですね。
でも、いざ自分が体験したら、ほどほどのところで戻ってこれるか自信ないです。

*1:掃除当番の時に身体を慣らす目的でマイケル・ジャクソンの『スムーズ・クリミナル』を踊っていたところを後輩に目撃された。

アニメ視聴強化月間

前に4月から在宅勤務になったことを書きました。
「在宅勤務(テレワーク)に入って3週間」
ゴールデンウイークも近場の買い物以外に出かけることもなく、ほとんど家で過ごしていたわけです。
つまりは家で使える時間が増えたわけで。
こういう時こそ、今まで時間がなくて観たくても観られなかった作品を観よう!
というわけで、以前から有料会員に入っているAmazon Prime Video*1の活用、およびTSUTAYA DISCASの一か月無料会員になってみました。
https://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/dvd/top.do

そうして選んだのはアニメ作品ばかり(笑)
若い頃ははそれなりにアニメを観ていた方ですが、就職・結婚を経て減っていきましたが、娘が成長すると逆にプリキュアを始めとするアニメ番組を付き合いで観たりしたものです。*2
NHKを視聴する機会が増えたことで『メジャー』、『ベイビーステップ』といったスポーツものも観ましたね。
去年から今年にかけて、自分から興味を抱いて観ていたのは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』と『私、能力は平均値でって言ったよね!』くらいかな。
ここ4,5年はたまにしか観ていなかったアニメですが、それが一度観始めると止まらず、この2か月近くは今までにないくらいの勢いでアニメを観てきました。
そこで、一覧と個人評価(5段階評価)と簡単な感想を書いてみます。
amazonのリンクは評価4以上のみ)



新海誠監督作品
君の名は。(★★★★★)

2016年に大流行していた頃、観に行ってみたい気持ちはあったものの、結局行くことなく4年近くが経過。
いい歳したおっさんが恋愛を扱った作品を観に映画館まで足を運ぶにはちょっと抵抗を感じてしまうもの。*3
しかし、この度TSUTAYAの宅配レンタルにてようやく観ることができて一言、「もっと早く観れば良かった!」
今更になって事細かに書くことはしないけど、とにかく最高だった。
最初に観た時は時系列が飛んだり戻ったりして、いまいち不明だった部分もあり、気になって2回観てしまった。
ちなみに家族で観て、妻も娘も面白かったそうだけど、自分が一番どハマりしたかもしれない。
ラストを迎えた後の余韻が非常に心に響いたためか、後からいろいろとネットで読みまくってしまうほどだった。これだけ引きずった作品は久しぶり。
実は単なる恋愛ものはあまり観る気はしないのだけど、現代をベースにしつつも時空を超えた繋がりといったSF的な現象を取り入れられた作品は大好きなんだよねー。*4
あともう一つ。
作中でヒロイン出身地である飛騨の方言(語尾が「~やよ。」など)が『陶都物語~赤き炎の中に~』の登場人物の言葉遣いを思い出して*5、個人的に親近感が湧いたのもあった。

言の葉の庭(★★★)
君の名は。』に続いて新海誠監督作品を観ようと思って選んだのはこちら。*6
劇中の大部分が都内における雨の描写なのだけど、それがまことに美しくて叙情的。雨の日の公園でベンチに座って眺めてみたくなった。
主人公二人には12もの年齢差があるが、年上に憧れるのは思春期の男子がかかる”はしか”のようなものであるし、現代の激務職である教師にとっての癒しとなった関係が描かれたのは良い。
ただ、その後を想像に任せるには物足りなかったかな。まぁ、46分程度と短くまとめられているので仕方ないかもしれない。


小説家になろう
『ありふれた職業で世界最強』(★★★)
原作本編は読んだ。大事な序盤が省略されているのは気にかかったが、全体的にまあまあ楽しめた。
たぶん、中二病的なアレコレを受け入れられるかどうかで楽しめるか白けるか分かれるんじゃないだろうか。

八男って、それはないでしょう!(★)
原作はほぼ読んだ。絵はいいんだけど、原作の設定やら事情やらストーリーまで何もかも省略しすぎでわけがわからなくなっている。西欧風世界なのに説明もなく和食が出てきたあたりで吹いた。*7 途中で観るのをやめた。

『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』(★★★)
原作は読んでいない。いわゆるVRMMOもの。序盤から突っ込みどころ満載。ゆるーい感じで進んでいくのかと思いきや、後半はロボットまで出てきた上に熱い展開で驚いた。
周りを固める主要キャラたちもどこかで見たような人物像なので新鮮味はなかったが、最後まで楽しんで観られた。

『魔王様、リトライ!』(★★)
原作は読んでいない。いわゆる勘違い系として楽しむものなのかもしれないけど、なんとなく途中で観る気が失せてしまった。


◎その他、懐かしいタイトルなど(思い出補正で評価が甘くなったと思う)
『行け!稲中卓球部』(★★★★)

コミックを読んでいた作品で、深夜にアニメが放映されていた頃に少しだけ視聴。
原作にあったような下ネタや過激ギャグがソフトに表現されていたのは仕方ないかな。
やっぱり前野を始めとするキャラクターがいずれも強烈で、今でも充分楽しめた。
卓球部の5人だけでなく、京子、ちよこ、鬼頭先生といった女性陣が実に個性的というかぶっとんでいて笑えた。

『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』(★★★★)

原作は途中まで読んでいた。テレビはシリーズ1のみ視聴。
声優陣および主題歌挿入歌テレビ放映時のまま採用されていることがすごい。*8
もっこり”を始めとする冴羽リョウの格好いい時との落差。それとハンマー女こと槇村 香とのコンビも健在なのが懐かしかった。もちろん、海坊主や冴子といった脇を占めるキャラも光っていた。
原作の舞台は1980年代だけど、本作ではバーチャル伝言板やドローンなど、公開された2019年らしさをうまく取り入れていたと思う。
内容は東京都内での派手な銃撃戦など、いろいろとぶっとんでいる部分があるのはシティーハンターらしい。
茶店のオーナーとして、キャッツアイの3姉妹がゲスト出演したあたりは同一作者ならではで嬉しかった。

『パプリカ』(★★★★★)

パプリカ [Blu-ray]

パプリカ [Blu-ray]

  • 発売日: 2007/05/23
  • メディア: Blu-ray
原作は読んだ。
夢を扱っていることもあって、筒井康隆らしいはちゃめちゃぶりとエロス溢れる原作であったが、そこはアニメ映画としてわかりやすく表現されていた上にストーリーもうまくまとまっていたように思う。
キャラクター像として、千葉敦子はイメージ通り。最初パプリカはちょっと違う気がしたが、観ているうちに違和感がなくなった。
それに千葉敦子/パプリカ(林原めぐみ)、時田(古谷徹*9、粉川警部(大塚明夫)などの実力派声優陣による演技も良かった。
筒井康隆も絶対出ているだろうと思ったらやっぱり(笑)




これから観たいリストとしては、5/27にレンタル開始された『天気の子』、ずっと前から観ようと思っていた『僕だけがいない街』、『新世界より』あたりを考えています。
それと、アニメ以外ではスティーヴン・キング原作の『ペット・セマタリー』とかホラー映画を観てみようかと思ってます。

*1:3月まではあまり見てなかった。

*2:映画にも自分が連れて行った

*3:妻と娘はディズニーやジブリの映画を観に行っていたけど。

*4:恋愛を取り入れたタイムトラベル小説をよく読むのも同じ理由。

*5:『陶都物語』の舞台は東濃である多治見なので、岐阜県からしたら違いはあるのだろうけど

*6:秒速5センチメートル』はあらすじと結末を読んだだけで無理だと思った。

*7:原作では再現する過程が書かれている。

*8:久しぶりすぎたせいか、最初はリョウと香の声に違和感があったけど。

*9:年齢はまったく違うがオタクとして共通しているせいか、もろアムロ・レイだった(笑)

中山七里 『悪徳の輪舞曲』

悪徳の輪舞曲 (講談社文庫)

悪徳の輪舞曲 (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

14歳で殺人を犯した悪辣弁護士・御子柴礼司を妹・梓が30年ぶりに訪れ、母・郁美の弁護を依頼する。郁美は、再婚した夫を自殺に見せかけて殺害した容疑で逮捕されたという。接見した御子柴に対し、郁美は容疑を否認。名を変え、過去を捨てた御子柴は、肉親とどう向き合うのか、そして母も殺人者なのか?

最初に郁美(御子柴礼司の実の母)が夫を自殺に見せかけて殺すシーンから始まります。
14歳当時の園部信一郎が事件を起こしてからおよそ30年後、娘(信一郎の妹・梓)も独立して老齢に入った郁美は再婚したのですが、1年後に夫の成沢が自殺。
しかし、警察は自殺に見せかけた殺人事件だとして郁美を逮捕しました。
状況証拠ばかりとはいえ、有罪判決が下される可能性は濃厚。さらに郁美がかつての「死体配達人」の母だということは知られており、誰も弁護を引き受けません。
そこで唯一の肉親である梓が御子柴礼司に強引に弁護を持ちかけてきました。
礼司としては、肉親の情ではなく、亡き夫が資産家であることから多額の成功報酬と引き換えに引き受けるのですが、久しぶりに会った母親に感情がかき乱されてしまうことに戸惑うのでした。

殺害などしていないと終始否定している郁美ですが、ロープに残っていた皮膚片からのDNA鑑定結果、偽造されたらしき遺書、それに鴨居に残された滑車の跡など、動かしがたい状況証拠。
さらに園部信一郎の事件の後に夫が自殺を起こしており、まったく状況は同じだということが当時捜査に加わっていた刑事の情報によって発覚しました。
冒頭のこともあって、読んでいる方としてはやはり郁美が殺人を犯したという印象が強いです。
それでも礼司は検察の主張を覆すべく、事件後の郁美と梓の足取りを追います。
明らかとなるのは自身が犯した罪により、加害者家族として迫害を受け続けた過去。
特に梓は結婚さえ破綻してしまったために礼司を恨むこと甚だしい様子ですね。できれば会話もしたくないが、他に母の弁護を引き受ける弁護士が見つからないために仕方なく最低限会いますが、それでも激しい憎悪が溢れんばかり。
それを馬耳東風と流す礼司もなかなかのもの。
彼にとっては家族でもなんでもないという意識ですが、それでも大事なことを隠している様子の郁美に苛立ちが募るようで。いつもの冷静さを欠いているのがわかりますね。

果たして郁美は冤罪なのか、それとも?
クライアントは非協力的、かつ有望な証拠が見つからない中で礼司は状況を覆すことができるのか?
これまでのシリーズと同様、読めば読むほど先が気になっていく展開はさすがです。
相手方の検事がかつて敗れた先輩の忠告を受けて、必要以上に礼司を警戒しつつ、しっかりと材料を揃えて、勝利が目の前だと確信したところで、例によって驚きの展開を迎えるんですよねぇ。

いやはや今回も面白かったです。
平凡で気の弱そうな郁美なのですが、最後に明かした真実で礼司が衝撃を受けたところ、さらに思わぬ人物に出くわして愚痴ったところも良かったです。

横山信義 『蒼洋の城塞5 マーシャル機動戦』

航空戦力を集中して守りを固めた連合艦隊は、再建された米海軍機動部隊の猛攻を辛くも凌いだ。だが、開戦以来敵機を圧倒していた零戦も新型戦闘機F6Fヘルキャットの登場によって苦戦を強いられるようになり、連合艦隊の戦力も次第に削られてゆく。一方、米国はその国力に物を言わせて艦隊を増強、マーシャル諸島メジュロ環礁に前進基地を建設し、要衝ラバウル、トラックをも脅かす。日本はこのまま米国の巨大な物量に押し切られてしまうのか!? その時、機動部隊の小沢長官が奇策を提案した――

いよいよ1944年が幕開け。巨大な工業力に物を言わせてエセックス級インディペンデンス級とちた空母が次々と戦力化された米軍の本格的反攻が始まります。
この頃になると史実で特攻機を迎え撃った「イントレピッド」の他、「レキシントン(Ⅱ)とか「サラトガ(Ⅱ)」といった沈没艦から受け継いだ艦名が登場しますね。
ギルバートやマーシャルといった前線の諸島を軽くたいらげた後は今までの太平洋戦争ものでおなじみメジュロ環礁を前線基地として整備していきます。
広大な航空基地や港湾設備はもとより、本格的に艦船を修理できる浮きドックまで呼び寄せ配置する光景は日本海軍の一大根拠地・トラック諸島に引けを取らない規模です。
さらに上陸戦のために海兵隊の部隊まで到着。作戦開始まで秒読み段階となりました。
既存の偵察機では未帰還になってしまっていたのを新鋭機・彩雲によってメジュロの状況を掴んだGFは迎撃のための計画を練るのですが、標的として考えられるのは果たしてラバウルなのか、トラックなのか絞り切れません。
当の合衆国としても、中部太平洋を島伝いに直接首都を狙いにいきたい海軍と戦略空軍、それに反して南太平洋に沿ってフィリピン攻略を優先させたい陸軍と意見が分かれていました。そこには幾分かマッカーサーの私情が入り込んでいましたが。
結局、日本軍としてはトラックとラバウル、どちらに来ても支援できる体制を作ります。その一方で機動部隊を率いる小沢治三郎には秘策を考えていました。
ついに米軍はラバウルの東方から来寇してきて・・・。


太平洋戦争ものでは枢軸国の攻勢が終わり、連合国の反攻が始まる1943年後半くらいから戦争の行方をどうするのかが問題です。
いくら前半が順調にいっても、アメリカの圧倒的な国力の前には日本はじり貧が待っているわけで。
今回も序盤は重苦しい雰囲気がありましたね。
F6Fヘルキャットを揃えてきた米海軍に対して、いまだに零戦の後継機が揃わない日本海軍。陸軍は3式戦・飛燕が出てきましたが数は少ないですし。
転換となったのは日本の機動部隊が正面切って迎え撃つのではなく、主力が引き払って手薄となったメジュロを襲ったところでしょう。
いかに航空基地が稼働して守備が固めてあっても、正規空母4隻分の空襲から守り切れるわけがなく。
浮きドックを含めて、せっかく造り上げた前線基地が壊滅してしまっては対日攻勢が数か月遅れる。
それが米軍司令官の焦りを呼び起こして、結果的に判断を誤ってしまったというわけですね。
これも今までの敗北で機を見るに敏な司令官*1を喪った結果だと。
そういうわけで、今回は司令官の判断および海戦における作戦において日本側に傾いていたと言えるでしょう。
海戦の主役たる戦艦同士の戦いでも「武蔵」に対して、旧式戦艦では相手にならなかったというのもありますが。
次回で新鋭空母を揃えての航空戦が入るのかなと思います。日本側は大鳳陸奥改装空母)が戦力化されますが、米軍はどれだけ増えているやら…?

*1:ハルゼーやスプルーアンス

在宅勤務(テレワーク)に入って3週間

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、4/7に東京都の緊急事態宣言が発令されまして、その翌日から私も本格的にテレワークに入りました。

テレワークとは・・・一般社団法人 日本テレワーク協会

社内でも3月以前からテレワークに入る人は徐々に増えていましたし、3月下旬から出社するにしても時差出勤となりましたが、緊急事態宣言後は原則として出社禁止となってしまいました。
そうして完全に自宅で仕事をするようになって約3週間の今の状況を書いてみます。

いつもPCを見ている場所はリビングなのですが、さすがにそこでは集中できなさそうなので、半ば物置と化していた部屋を片付けて一人籠るようにしています。
また、いつ出社することになってもいいように、会社に行ける服装*1に着替えて、なるべく出勤時に近いような感じで支度していました。
お昼や休憩時間も会社にいる時と同じようにとっています。
すでにテレワークに入っていた人から少しは聞いていましたが、やはり自宅で仕事するようになると、いろいろと違ってくる点が出てきますね。
以下、箇条書きで。

【問題点】
・体力を使わなくなる。もともとデスクワーク中心で運動不足を自覚していたが、それでも家もしくは会社から駅までの距離を歩いていたのが一切なくなる。このまま続けていたら、太るんじゃないかなぁ。
・仕事とプライベートとの切り換えがつきにくくなる。とりあえず定時で席から離れても、メールが気になって夕飯後にまた覗いてしまったりする。
・精神的に疲労するのは変わらないので、自分でリフレッシュすることが必要。

【良かった点】
・通勤がなくなったので、朝晩の時間の余裕ができて、睡眠時間は増えた。満員電車でイライラすることがなくなったのも大きい。
・お金をあまり使わなくなった! お昼を用意するのが面倒だが、昼食代が浮く。*2
・先週、妻が腰を痛めたが、平日であっても家事のほとんどができた。
・常に家にいるので、宅配が必ず受け取れる。

その他、盲点や意外な点として・・・。
娘も休校で在宅なので、毎回家族揃って食事するのにちょっと違和感がありました。
これ、うちは家族がいるからいいけど、一人暮らしだと誰とも喋らない日々が続いてしまいそうですよね。
専用アプリを使って業務的な電話はしますけど、近くの席の人との雑談がなくなったので、喋る機会は減ります。その代わりにうちは家族とは話せますが。
外出自粛が叫ばれる中、場所によっては人が集まっていると聞くけど、感染のリスクよりも精神的な安定を優先しちゃうのかもしれない。
同僚の一人からラジオや音楽を聴きながら仕事をしていると聞きました。
そういうリラックス方法もいいですね。

また、私の一番の趣味である読書ですが、通勤電車内や早く帰れた時にカフェで読んでいました。自宅では夜眠れない時やもうすぐ読み終わる本の続きを読むくらい。むしろPCでネット小説を読んでいました。
習慣というのは大きいもので、自宅にいると意外に本を読まないんですよね。
だから、今月に入ってからまだ2冊しか読み終えていません。

テレワーク関係の記事を読んだら、不安を感じている人が多いようで。
「会社員に聞くテレワーク中に感じる不安TOP3、3位出社する同僚の仕事負担増、2位さぼっていると思われること、1位は?」
会社にいるのとは感覚が違うせいか、カメラ越しに見える女性に対するテレワーク・セクハラなんて記事も見つけました。
ちなみに私の場合、勤務開始・終了のメールはしていませんが、Outlookで不在かどうかはわかるようになっています。
また、専用ソフトによる電話やチャットは利用しますがカメラで映すことはないんで、どんなだらしない恰好でも見えないのは助かります(笑)


4月初めの時点では5/6まで自宅待機となっていましたが、一向にコロナ感染の収束が見えない状況であり、5月末まで延びそうな気配です。
個人的にテレワーク自体は歓迎なのですが、続けば続くほど前のような出勤に戻った時が心配に思えてくるのでした。

*1:スーツではなくビジネスカジュアルな私服

*2:よく利用している店も売上減るだろうから気になるが…。