11期・56冊目 『アンダー・ザ・ドーム4』

内容(「BOOK」データベースより)

臨時町民集会が目前に迫る。そこで反対勢力は死刑を宣告されるだろう。一方、子どもをはじめとする町民たちは不吉な夢を見始める。それは最後の災厄の予兆…。町は爆発の臨界に達した。浄めの炎が迫りくる。業火のハロウィンがやってくる!巨匠の筆力が描き出す未曾有の大破滅。あまりに圧倒的な大作、完結。

いよいよジムが町民の総意を得て権力を握り、無法者を公開処刑に処するための臨時町民集会が始まります。
処刑前に何としてでもバービー、それに新たに牢獄に入れられてしまった医師のラスティを救うべく、ジュリアたち反ジム派のメンバーも警官が出払って警備が薄くなる集会の夜に救出計画を練ります。もっとも集まったのは女性と子供と老人が多く占めて、いささかの不安が残りますが。
民集会に決意を秘めていたのは、強引に薬物中毒から抜け出した第三町政委員のアンドレアも同じで、ジュリアの愛犬ホーレスが見つけ出したジムの悪行を記したファイルを持って糾弾に臨むのでした。


クライマックスにかけて3巻から徐々に舞台が整っていく感じがして、思わずページをめくるのももどかしくなるほどヒートアップしてきましたね。
主要人物の中でも不確定要素であったジュニアの狂気が暴走、そしてプロパンガスを倉庫に多数貯蔵していたラジオ放送局の管理人シェフが第一町政委員サンダースとともにラリったまま徹底抗戦を叫んで立て籠もる。
まさに彼らが一気にストーリーを動かした感がありました。


キングの特徴として、登場人物の背景や心情がこれでもかと思うくらい実に細かく書かれていて、それが序盤や中盤だとたまにうんざりするほどですが、物語も後半に入ると実に感情移入しやすいのですね。
例えば独裁者となったジムによって、脇に退けられたサンダースとアンドレアの心境の変化、それに伴って思い切った行動に出るあたりが胸を打ちます。それが悲劇を招くものだとしても。
やはり圧巻はガス爆発によって引き起こった大災害と、それに伴う死のオンパレード。
果樹園に逃げた”亡命者たち”は助かるのか?要領良く地下シェルターに避難したジムとカーターの運命は?ってところ。
まさにクライマックスにふさわしいスピード感と迫力満点の描写でした。
最後の最後になって重要な役割を果たしたスラッピー・サムがいい味出していたし、牛飼い少年オーリーと壁の外のエイムズ二等兵との交流も良かったです。


ドームの原因については、本作について検索していた際に知ってしまったので、個人的には「ふーん」で済んだのですが、amazonのレビューを見るとガッカリした人もいたらしいですね。
まぁ、これだけの長編大作なので、どのような裏があったのか気にはなるので、ああいった理由というのも評価が分かれるかもしれません。
それはともかく、ドームが消えてゆく様はなかなか見応えがありました。