幻と消えたピアノ演奏

来月下旬には娘の通っているピアノ教室の発表会がある。
本番まで約一か月。今は仕上げに向けて毎日練習に余念がない。

発表会はだいたい1年半に一度の開催され、ソロの曲と連弾(二人で弾く)の二回演奏する。
連弾では先生と弾く場合もあれば親子だったり友人同士だったり組み合わせはいろいろ。違う楽器と協奏する場合もある。
さらにクラシック曲中心のソロと違って、連弾の曲は何でも有りでアニソンからJ-POP、ゲームメロディだってあったりして、一般客も楽しめる構成となっている。

それで話しは去年に遡る。
我が娘のソロ曲はだいぶ前から本人が弾きたいという曲があって早々に決まっていたのだが、連弾の曲および誰と弾くかが未定だった。
そこで妻が一言。
「娘と連弾できるのなんて小学生のうちまでなんだから、あなたやってみたらいいじゃない?」

かるーく言ってくれるが、私は音楽を聴くこと自体は好きでも演奏は大の苦手。
課題でリコーダーなどを吹かなければならなかった時は本当に憂鬱だったもの。
小中学生時代の音楽の成績で演奏が関係する時はいつも5段階中2の低空飛行だった。

しかし最初で最後の娘との連弾の機会ということで心は動いた。
そんな話をしていたのが11月の初め頃だったか。発表会の詳しい時期は決まってなかったが、2~3月と言われていたから練習する時間はたっぷりある。
しかも連弾では上手は人の方が主旋律を両手で弾くので、パートナーは片手だけとか両手でもさほど難しくないようにできるらしい。
ど素人から始めても練習で体に覚え込ませればできるだろう。
それで少しは希望が湧いて、前向きに検討することになった。

ネットで調べてみると、素人からでもピアノを学ぶため音符の読み方から教えてくれるページがあったりする。
だから単に弾く鍵盤を丸暗記するのではなく、せっかくだからちゃんと基礎を抑えておこうかと思ったりした。
でもまだ時間はあるから焦る必要無くて、むしろ何の曲を弾くか考えるとちょっとわくわくしてきた。
最近はyoutubeで歌を検索するとピアノで演奏している(プロからアマチュアまで))動画が多くアップされているのでイメージしやすい。
自分が十代の頃好きだった曲がいいなー、でもなるべく今の子たちでも知っていそうな曲を選んだ方がいいかー、などと考えていた。
一方で娘は娘なりに好きな曲を選ぼうとしていたので、いざ決める時に揉めそうな予感はしていたが・・・。

12月に入ったあたりから娘がピアノの先生の影響でレ・フレールという兄弟ピアノデュオにハマる。

Les Freres レ・フレール On y va! - YouTube

CDを借りたり、妻も巻き込んでクリスマスコンサートに行ったり。
しまいにはその曲を弾きたいと言い出した。
しかしレ・フレールの曲を一緒に弾くには経験者でないと厳しい。
歳が近い子と組むことも考えられたが、結果的に先生との連弾に決まり、父子連弾は幻と消えた。
まぁ曲が決まらないどころか、こっちはまだピアノの鍵盤さえいじってなかったんだけどね。
なんだかんだいってやっぱり楽器が怖かったのかもしれない。
考えてみれば娘のピアノ上達度からいって、素人の私も弾ける程度の曲に合わせたのでは物足りなかっただろう。
今では少し残念な気がするけど同時にほっとしていて、やっぱり娘のピアノは聴く立場として楽しみたいというところで落ち着いている。