- 作者: 澁澤龍彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/11/08
- メディア: 文庫
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歴史上の悪女たちの逸話だけに、ドロドロの愛憎劇やら異常人格やら大量殺人やらで、これって凄い内容だよなと思いつつも、グロさというか気持ち悪さは全然感じないんですよね。
美輪明宏の解説にもある通り、必要以上に感情的な文章でなく、上品というか知的な文章で好感は持てます。
実はちっとも悪女っぽくないルクレチア・ボルジアやマグダ・ゲッベルスが入っているのはどうしてかというと、知名度とか作者の好みらしいです。*1
あと「悪女物語」だけに負の面が強調されている場合もありますんで、予備知識が無いととんでもない印象を抱く怖れはありますね。ちゃんと客観的に書いている人物もあることはあるのですが。
それにしても、今回も日本の女性が出てきませんでしたねぇ。何だか淋しいような。
作者いわく、肉食民族でかつ陰にこもる石造りの家にする欧州の人物の方がいざとなると過激に走りやすいとか。
確かに日本史において後世まで名を遺した美女・才女はいても、ブランヴィリエ侯爵夫人やエルゼベエト・バートリみたいな女性って見当たらなそうですな。*2
*1:前者は毒薬で有名なボルジア家出身だし、後者はナチス高官の妻ですからね
*2:ふと昔聞いた安達が原の鬼婆を思い出しましたが、こちらはあくまでも伝説っぽいですね。http://www.kanze.com/nonotayori/adachigahara.htm