- 作者: 高島俊男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/11/01
- メディア: 文庫
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うん、これも自分が大人になったということか(笑)
中国史の専門の学者だった経験も生かして、『正史三国志』をはじめ様々な文献をあげ、原文をどう解釈するというところまで突っ込んだ内容なんで興味深いです。
それでいて、細かすぎず堅苦しくせず、読みやすい内容に仕上げてあるので、これは三国志についてある程度知識は持っているけど、正史はまだ読んでないなーって人にはお薦めじゃないでしょうか。
でも極度の蜀ひいき・劉備ひいきの人には危険かも。
「三国鼎立」と言っても実際は魏が名実ともに中国を支配し、呉や(特に)蜀は隅の方で騒いでいたってことは、知っちゃいてもツライ事実です。
まして「三顧の礼」の劉備と孔明を、ぱっとしない中小企業の社長と就職先が見つからない大卒の青年に例えるあたりは夢も希望も無い(ノД`)
さらに著者は中国史に精通し、あちらの歴史的な常識までよく知っておられるので、日本人が意外と知らない例をいくつか紹介しています。
例えば、中国人の名前に付け方に関することなどは、歴史を知る上で為になります。
それくらいはいいのですが、今の「小説」を古代中国での思想の通りくだらないもの*1とする思想が見え隠れしてますね。一般読者には好評だった吉川『三国志』のことを「半分日本みたいな変な小説をこしらえた」と書いてますが学者先生にとっては妄言流語の類になってしまうのですかね。
*1:『荘子』「外物篇」より「小説を飾り以て辞令を幹とし、其れ大達すること亦た遠し」 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%AA%AC#.E4.B8.AD.E5.9B.BD.E3.81.AE.E5.B0.8F.E8.AA.AC