7期・5冊目 『時空の旭日旗6 未来の記憶』

時空の旭日旗 未来の記憶 (歴史群像新書)

時空の旭日旗 未来の記憶 (歴史群像新書)

内容(「BOOK」データベースより)
1942年6月。マレー半島・蘭印を制圧した日本軍だったが、その直後にABDA艦隊の攻撃によりティモール島を奪還されてしまう。ここから蘭印の主要部―ジャワ、スマトラ、ボルネオ、セレベスの4島への連合軍の反攻が始まる。日本も新設された第6海軍航空隊が防空にあたり、モルッカ海峡での一大航空戦の幕が開いた。時を同じくして、アメリカ軍は仏印にB‐29を投入。日本軍の目が蘭印に集中する隙を突いて台湾そしてフィリピン・ルソン島に空襲を開始。連合軍の壮大な反攻作戦が始まりつつあった―。待望のシリーズ第6弾。

冒頭、無血占領を果たしたティモール島を連合軍によって奪還されてしまう。しかし敢えて再奪取に向かわずに、確保したインドネシア周辺の要塞化によって持久体制を図る日本。そして空軍を主に本格的に反攻を始めた連合軍との熾烈な航空戦が描かれるのが6巻の内容となっています。
しかも基本的にこちらから敵基地へ攻撃に向かわず、ホームグランドにて迎撃に徹し、味方の損害を抑え敵の出血を図るというのが日本の方針。
そこには史実のソロモン・ニューギニアにおける航空戦において、貴重なベテランと機材を大量に失い、特攻の遠因になったという教訓があるのかもしれないですね。


日本軍は新鋭局地戦闘機震電や陸海統一の主力戦闘機・疾風を投入し、レーダー搭載の管制機を含めた迎撃網、そして空対空墳進弾によって迎え撃てば、米軍もP51DやP61による護衛機をつけて対抗。
さらに史実よりも早く運用開始したB29の毒牙はフィリピンや台湾までにも向かう。
そのあたりの航空戦はなかなか迫力がありました。


あずみ丸のメンバーにより戦略・通信分析の結果、東南アジア方面のB29基地をつぶすべく、かつての主力艦・長門陸奥、赤城、加賀を主力とした仏印攻略戦が発動されます。
まぁ陽動っぽいんですけどね。山場かと思えばあっさりスルーされるし(笑)
そのあたりの日米の戦略的な駆け引きは作為的と言えばそうなんですけど、架空戦記としてはなかなか読み応えあるとは思います。