- 作者: 横山信義
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/02
- メディア: 新書
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日米英の緊張が高まるなか、米軍が豪領ラバウルに侵攻。太平洋への野望を剥き出しにする米国に対し日本の決断は!? 戦記巨篇第二弾!
日英を互いに疑心暗鬼にさせて共倒れを狙った陰謀は明るみにされ、居直ったアメリカはこの際だからと両国を相手どることを決めた。そんな展開で幕を開けた2巻です。
日英衝突の原因となった件に関して、タイ国境紛争についてはアメリカが唆したとの記述はあるんですが、「ゴースト」とあだ名された潜水艦についてははっきりと書かれていません。後のラバウル攻略戦の際の米巡洋戦艦への雷撃も気になるし、「ゴースト」の正体は当分謎のまま進んでいくんじゃないですかね。*1
みどころは、英豪遮断のためギルバート諸島攻略に総力をあげる米太平洋艦隊と劣勢の中で守る英軍との戦い。史実同様にイギリス守備隊の堅さには目を見張ります。F4F vs スピットファイアMark5、ハリケーンMark2の航空戦が面白い。
そして毎度お馴染みの水上砲戦はルソン攻略を巡って生起したノースカロライナ型と加賀型2隻同士の戦い。いきなり現時点での主役クラスを出してきましたね。それまでの航空戦を消化不良な結果にまでさせておいて戦艦を引っ張り出すところが仮想戦記の大艦巨砲主義者ならではでしょう。史実の太平洋戦争と違って、のっけから日本軍の苦戦ぶりを書くところが著者らしいところ。
まずは日英側が辛くも勝利を収めて、アメリカの更なる攻勢を待つところは予想通りか。
そういえば最近アメリカの政治的腹黒さが際立ちますねぇ。日+欧州vs強すぎるアメリカを描いた巡洋戦艦「浅間」シリーズとどう違いを見せるか気になります。
1巻では著者・横山信義氏は太平洋における三つ巴を書きたいと言っていたしなぁ。単純に日英vs米という構図のままいくと思っていたら思わぬ展開が待っているかも。