65冊目 『バルタザールの遍歴』

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

バルタザールの遍歴 (文春文庫)

出版社/著者からの内容紹介
一つの体を共有する双子、バルタザールとメルヒオールが綴る、放蕩と転落の物語。日本ファンタジーノベル大賞受賞の歴史幻想小説

なんともはやレビューが書きづらい作品です。
一言で書けば、前半退屈、後半わくわくって感じですか。
「一つの体を共有する双子」と紹介にありますが、単なる二重人格とは違うんですよ。別々の興味を持つかと思えば、同じ女性を愛し、時には仲違いすることもありますが、基本的に互いの人格を尊重しているのですよ。
1人のメルヒオールの方は、非物質体質を会得して、幽体離脱のような行動をとって実体である方のバルタザールと会話したり、壁をすり抜けたり、他人の体を乗っ取ったりします。なんとも不思議な主人公です。


北アフリカの砂漠での目まぐるしい展開から、連れ去られたバルタザールを客船まで追いかけたあたりは、昔見た古い洋画を思い出しましたね。
実際、第二次世界大戦前のヨーロッパの雰囲気とか没落貴族の心情とかはよく伝わってきますので、その時代を描いた海外小説や映画が好きな人向きかもしれませんが、私はイマイチなじめませんでした。