99冊目 『機動戦士ガンダムⅠ』

久しぶりにラノベを読もうと本屋に行ってみたものの、以前ある方にお薦めしていただいた作品は1巻だけ置いてなくて(2巻以降はたくさんあったのに)、さてどうしようかと眺めていて目についたのが本作。
ガンダムにゃテレビアニメ(ファースト・ガンダム)に始まり、プラモ・ゲーム・OAVと20代後半頃までかなりお世話になったものです。でもそんな中で手を出さなかったのが小説と漫画。
いい機会だからと手にとってみたわけです。


内容は、まずアニメ版とは設定が違う。アムロ達は民間人ではなくて、パイロット候補生として出てきます。確かにいくらメカおたくでも、いきなり軍の最新鋭MSを動かして、しかも正規兵の乗る敵MS2機を倒してしまうなんて出来すぎ。*1 多少は訓練を受けている方が納得がいきます。それでも凄いけど。
それからストーリー展開が急であると同時に順序が違う。ガルマなんて登場したかと思えばいきなり死んじゃうし。後半ララァが登場してエルメスに乗り、テキサス・ゾーンでアムロと邂逅したと思えばもう戦って死んでしまいます。その間ずーっとシャアは赤ザクで戦ってるの。可哀想に。まぁ次巻で陸上に行くようだから、ズゴックが出るまでは仕方ないのか。


小説ならではと思った点は、各登場人物の想いや背景が書き込まれてこと。例えば若くして出世したシャアに対する周りの人物の感情(特に負の)なんてアニメじゃほぼ感じませんでしたもんね。
あとは続編で、軍の内部事情とか兵器開発に関してのエピソードを期待したいです。
いずれにせよ、作品としての本当の評価はⅢまで読まないとできないですね。

*1:えーと今で言えばスペックには異様に詳しい軍ヲタがF-22ラプターに乗って、ミグ21と戦うようなもんでしょうか。

100冊目 『悪人列伝 近世編』

悪人列伝 近世篇 (文春文庫)

悪人列伝 近世篇 (文春文庫)

3冊目にして、馴染みのある近世編まできました。
今回の悪人として選ばれたのは次の6人。

例によって悪評高い人物が選ばれました。
ほぼ納得いく人選だったのですが、ちょっと松平忠直だけがよくわからなかったです。私が知らないだけで、読んでみてその暴君ぶりに納得なんですが。
ちょっと可哀想だと思ったのが、陶晴賢
それまで主君に寵愛されていた重臣でしかも歴代の家老職にあったのに、別の臣(相良武任)にその座を奪われ、讒言(陶晴賢にとっては)によって自身が危なくなって、優柔不断な主君を討つなんてよくある話のようですが、主殺しの先駆けみたいな汚名を負ってしまったわけですな。
その後対立したのが毛利元就だったという相手の悪さがありますが、読んでみると相良武任登場までは武将としては高い能力を発揮していたのでもったいない気もしました。


日野富子に関しては応仁の乱の黒幕であると同時にその守銭奴ぶりは好きになれないです。*1
松永久秀宇喜多直家みたいな謀将はけっこう好きなんですよね。*2 この2人のうち、著者は宇喜多直家より松永久秀の方を悪人として評価していますね。宇喜多直家はその陰湿な手口と向背定かならぬ姿勢で小悪党呼ばわりです。
「向背定かならぬ」のは、この時代の小豪族の常だろうとは思いますが、最後に平蜘蛛を抱いて自爆した久秀や、小勢で大軍を翻弄した真田昌幸のような一種の爽快さが感じなれないので仕方無いのかもしれません。


それから徳川家の2人。
著者は徳川家の血筋として極端から極端に走る狂気の質があると述べています。
3代将軍家光などもそうであったけれど、あの時代の名老中がフォローした為にボロが出なかった。だけど残忍な所業を繰返す松平忠直には忠臣が無く、将軍としての独裁権を握った綱吉は「生類憐れみの令」という悪法によって暴君の名を残しました。
個人的にも綱吉という人物は好きになれませんが、要はキチガイが独裁者になったらどうなるかといういい例なのですね。*3

*1:死後、せっかく貯めたお金は息子ではなく血の繋がらない人に渡ってしまうのが虚しいですけどね

*2:一番はやっぱり真田昌幸です

*3:世界史でもそうなのですが、そういう人物って初期は素晴らしい統治を行っているのです