12期・36冊目 『精霊幻想記8 追憶の彼方』

精霊幻想記 8.追憶の彼方 (HJ文庫)

精霊幻想記 8.追憶の彼方 (HJ文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

奇しくも追い続けてきた宿敵と死闘を繰り広げることとなった大都市アマンドにて、遂に美春たちが捜す人物のひとり・皇沙月の情報を入手したリオ。折りよくリーゼロッテら貴族から、今までの功績に対する褒美の内容を求められていたリオは、勇者として召喚されたらしい沙月が出席するという夜会への参加を褒美として要求し、美春たちの待つ精霊の里へと帰還を果たす。一方、夢を通してリオが春人なのではないかという疑念を抱いた美春は、悩んだ末にとある人物へと話を持ち掛けるが―。

前巻のラスト、ルシウスとの戦いにおいて名を呼ばれたことにより、王女フローラにリオであることがばれてしまったのですが、彼女自身の罪悪感もあってその場は凌ぐことができました。
リーゼロッテの屋敷に戻り、セリアたちが負傷者の治療や後処理に勤しむ中で脅威は去ったと判断したリオは再び戦いの地に戻るものの、レイスの手によって痕跡も消されてしまい、もはや手の届かない場所まで逃げられたことを知ります。
その後リーゼロッテからの謝礼として、勇者お披露目の夜会に参加することを認められたリオはそこに美春らを連れていくためにいったん屋敷を辞去し、精霊の里へと向かうのでした。


リオに同行して、ガルアーク王国に勇者として召喚された沙月(春人や美春の高校の生徒会長)に会いに行くか?巻き込まれ召喚の自分たちは勇者の枷としてこの国の権力者たちに利用される立場になるかもしれず、難しい決断を迫られる美春たち。
結局、二人の保護者を自認する美春は亜紀と雅人のために行動に出ることにします。
一方でリオ(ハルト)に対して幼馴染の春人の生まれ変わりなのではないかという疑念の捨てきれない美春はある夜、不思議な夢を見ました。
それは美春と別れた後の春人の軌跡。
目覚めた時に傍にいたアイシアは厳しい道のりを歩いてきたハルトについていく覚悟はあるか、あるならばいつかきっと彼自身から答えが得られると問いかけられて、ハルくんと離れたくないと答えたのでした。




今回は正直に言えば、会話シーン盛り盛り(笑)
今後の自分らの行動を決めるための美春と亜紀、雅人の姉弟
春人を巡る美春とラティーファ、それぞれの過去と今の想い。
そしてついに明らかになったリーゼロッテの素性と流れ的に自身も明かさざる得なくなってしまったリオ(春人)との会話。
というようにそれぞれの行動指針を決める重要な内容もあれば、精霊の里の民を交えての軽い内容ももちろんあり。
ただ、少なくとも前半のフローラを救助して屋敷に戻ってからの会話は同じよな内容が繰り返されてくどく感じたので、地の文で省略しても良かったのではないかと思いますね。
精霊の里においても、登場人物が多すぎて個々の印象が薄くなっている気がしました。
良かった点としては、Web版では遠く離れてしまってすっかり忘れ去られた感のある美春が、書籍版ではちゃんとヒロインしているところですね。
そもそも主人公の初恋の人ですし、今後待ち受けている夜会イベントや彼女を慕っている千堂貴久との出会いを前に今回のような心情の動きが描かれたのは非常に良かったと思います。
逆に良くないというか、ハーレム要員多すぎで、しかも今回は一同に会したために会話も増えてストーリーが進まない点ですね。
そのせいで、夜会どころか沙月との出会いも間に合わなくて、エピローグで一瞬顔出ししたのみでした。
ハーレム展開のせいで魅力的な男性キャラがいないのももったいないです。
強くてミステリアスなのは敵だけで、味方側は主人公を引き立てるクズか未熟な人物だけというのはどうかと。*1
まぁ、それだけ期待が持てる作品ということで、今後も楽しみであります。
もう8巻まで来たけど、まだまだこれから怒涛の展開が来そうだなって気はしますね。

*1:主人公に礼を言えるだけでユグノー公爵がまともな人物に見えてしまう