貴志祐介 『コロッサスの鉤爪』 / 平山夢明 『東京伝説 自選コレクション 溶解する街の怖い話』

海上に現れた、壁のない密室に防犯探偵・榎本が挑む!

何者かに海中深くに引きずり込まれた元ダイバー。
無残な遺体には鉤爪で付けられたかのような不審な傷が残されていた。
現場はソナーで監視され、誰も近づけないはずの“音の密室”。
事件の調査依頼を引き受けた、防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、大海原に隠された謎に挑む! (「コロッサスの鉤爪」)。
表題作ほか計2編収録。『ミステリークロック』と2冊で贈る、防犯探偵・榎本シリーズ第4弾。

amazonで見ると、以下の記載があります。

本書は、単行本『ミステリークロック』収録の4篇のうち、「鏡の国の殺人」「コロッサスの鉤爪」の2篇を分冊して文庫化したものです。
他の「ゆるやかな自殺」「ミステリークロック」は、同時に発売された文庫『ミステリークロック』に収録されています。

家族で外出した際、少々時間を潰すために本屋に入っていたら目につき、「貴志祐介、久しぶりに読んでみようかな」とあまり考えもせずに買ってしまったんですよね。
冒頭から既読感があったのですが、2年前に単行本『ミステリークロック』を図書館で借りて読んでいましたのを忘れていました。
貴志祐介 『ミステリークロック』
まぁ、改めて読みなおしてみても面白くて、最後まで読み切ってしまったので良かったです。個人的には表題作の方が好きですね。特殊な潜水具なしには成立しないためにミステリとしては邪道なのでしょうが、感情移入しやすい点で。
防犯探偵・榎本シリーズはドラマ化されているのですが、「コロッサスの鉤爪」は製作されていないみたいですね。深海のシーンもあるし、ロケが大変なのかな? うまく実写化されれば面白そうな気がします。


「内臓を洗浄したい」と訴える女性が体験した壮絶な実話「都会の遭難」収録。
人間の闇から生まれた、狂気と猟奇の恐怖実話! !

2003年『うごめく街の怖い話』以来11冊の巻を重ねてきた「東京伝説」シリーズ。心霊ではなく人間の闇が引き起こす恐怖実話の金字塔は、現在において、世を騒然とさせる数々の凶悪事件の預言書とまで言われている。そんな総数400を超える話より、著者が選んだ最凶な話を自身の解説とともに編纂。「都会の遭難」や「素振り」など〈伝説〉きっての名作がそろう究極の一冊だ!

東京を舞台にした怖い実話系が34話収録されています。1~2ページ程度から長くても10ページ以内の短めの話ばかり。
頭のおかしい人に出会った話、あるきっかけで狂ってしまった話、都会の闇的な犯罪に関わる話など。
実話ベースとのことで、こんな怖い出来事に遭遇したらトラウマレベルなのでしょうが、書籍というフィルターを通しているせいか、ホラー好きならサクサク読めてしまいます。だから読み終えた後の印象に残りにくいかな。
やっぱり幽霊や妖怪よりも人間が怖いというありきたりな感想になります。