2期・39冊目 『星を継ぐもの』

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

出版社/著者からの内容紹介
月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作

舞台は近未来、宇宙進出が進んで、月にも気軽に出かけられるようになった時代。
世紀の発見から始まって、次から次へと謎を呼ぶ展開。世界中の科学者達が力を結集しての調査の様子を、緻密で飽きの来ない謎解きとして描写。こういうスケールが大きくて、それでいて最後にアッと思わせる結末を持ってこれる作家はそうはいないのだろうなぁ。作品世界にはまりこんで、地球の人類が文明を持つより遥か昔に、惑星間移動を行っていた人類そっくりの異星人に想いを馳せるのもよし、科学者達と謎解きに挑むのもよしって感じです。


月面で見つかった死体(仮名:チャーリー)調査の過程では、生物学・人類学その他広範な分野からの調査が行われ、その結果喧喧諤諤の論争が巻き起こるのですが、そのあたりは難しい描写が続くのでちょいと辛いです。でもそこを乗り越えて主人公が大胆な仮説を提唱するあたりからは止まらない。*1


私は都合で後半部分は、二日ほど間を空けてしまったのですが、こういう作品はできれば短時間に集中して読んだ方がいいですね。

*1:きっかけはガニメデに行った時に得た閃きなんです。他の小説でも見るのですが、科学者でも"勘"が意外と重要なんですかね