最近観たアニメ 『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』/『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

無職転生異世界行ったら本気だす~』(第1クール)

34歳職歴無し住所不定無職童貞のニートは、ある日家を追い出され、人生を後悔している間にトラックに轢かれて死んでしまう。目覚めた時、彼は赤ん坊になっていた。どうやら異世界に転生したらしい。
 彼は誓う、今度こそ本気だして後悔しない人生を送ると。

小説家になろう』の原作小説は完結まで読んでいました。
イジメが原因で引きこもりとなった30代ニート男が親を死をきっかけに家を叩きだされ、暴走トラックから高校生を助けようとして自分が轢かれて異世界に生まれ変わっていた。
剣と魔法、様々な種族が暮らす異世界で田舎貴族グレイラット家の息子ルーデウスとして生まれた主人公は人生をやり直そうとする。異世界転生ものの先駆けと言っていいでしょうかね。
異世界転生ものって十把一絡げに『なろう』系などと称されて、現世で特別才能に恵まれずに燻っていた者が異世界に転生・転移したらチート能力を授けられて成り上がるみたいな見方をされるようです。*1
まぁ、本作の主人公も転生後の魔法能力に関してはチートでしょう。
しかし、主人公が歩む道は幾度となく困難が立ち塞がります。一度は死にかけるし、ヒロインはチョロくないです。*2
ただ、前世のイジメや引きこもりのトラウマを乗り越えて道を切り開いていく。前世では家族に報いることのできないまま死に別れてしまったため、今度こそは家族を大事にしようという心意気が描かれているあたりが感動的とも言えましょう。
もっとも、転生後のお調子者っぷりやおっさん特有のエロさが台無しにしてしまっている気がしなくもないですが(笑)
前世の諦観めいた声の渋さと夢に登場するヒトガミの胡散臭さが良い味を出しています。
第1クールを観た限り、キャラクター画・ストーリーとも満点ですね。続きを早く観たいと思わされました。


機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱)から12年。 U.C.0105--。地球連邦政府の腐敗は地球の汚染を加速させ、強制的に民間人を宇宙へと連行する非人道的な政策「人狩り」も行っていた。 そんな連邦政府高官を暗殺するという苛烈な行為で抵抗を開始したのが、反地球連邦政府運動「マフティー」だ。リーダーの名は「マフティー・ナビーユ・エリン」。その正体は、一年戦争も戦った連邦軍大佐ブライト・ノアの息子「ハサウェイ」であった。 アムロ・レイシャア・アズナブルの理念と理想、意志を宿した戦士として道を切り拓こうとするハサウェイだが、連邦軍大佐ケネス・スレッグと謎の美少女ギギ・アンダルシアとの出会いがその運命を大きく変えていく。

ファーストでライバルとなったアムロとシャア。Zでは共闘したものの、遂に地球を巡って最後の戦いを繰り広げた傑作『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』は映画館でこそ行きませんでしたが、レンタルで何度も観ましたし、去年BS放送されて久しぶりに観ました。
原作と違い、劇場版の本作は映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の後継らしいのですが、原作小説は読んでいません。
というか、『逆シャア』におけるハサウェイとクエスには良いイメージを持っていませんでした。
自ら望んだとはいえ、10代で最前線で人が死んでいくのを目の当たりにしたばかりでなく、自身でもモビルスーツに搭乗して引き金を引いた。それが精神に影響するのはこれまでのガンダムの主人公と同じ。
さて、あの時のハサウェイ少年がどのような大人になっているかと興味を抱いて観てみました。
内容的には腐敗した地球連邦政府(民間人を宇宙へと移民させるものの、地球に居座って汚染を加速している特権階級)に反発する「マフティー・ナビーユ・エリン」率いる組織の戦いを描いています。
冒頭ではマフティーを名乗る偽物のテロにハサウェイが巻き込まれて、不思議な少女ギギと赴任先に向かう途中だったケネス大佐と縁ができます。
実はハサウェイ自身がマフティーであり、植物研究のために地球に降りたという名目なのですが、次第にケネス大佐が疑うようになっていきます。
ハサウェイとケネス大佐は相反する立場にありながら、相手を認めるような関係になっていきます。そこにギギを挟んで複雑にしている。
ギギを巡る三角関係はララァを巡るアムロとシャアに似ているというより、『逆シャア』におけるクエスとシャアを彷彿させるんでしょうか。
原作小説では前後関係が詳しく書かれているようですが、この映画だけではよくわかりません。
それは戦闘シーンも同じであり、唐突に戦闘が始まって、いきなりハサウェイがガンダムに乗り込んで、ガンダム同士で戦っているといった印象を受けました。
MS同士の戦闘に巻き込まれて街が被害を受け、人々が逃げ惑う様子がやけにリアルに描かれているあたりがガンダムらしさでしょうか。
クライマックスのバトルについては文句のつけようはありません。
ただ、アムロとシャアの対決の集大成であった『逆シャア』と比べると、最後までわかりにくさが残りました。
実は序章みたいなものであり、続編が作られるらしいです。


*1:実際はブラック会社社員が過労死したり、元々能力はあったが突然死。あるいは死がきっかけじゃなくて偶然もしくは神の意思など色んなパターンがある。

*2:第1クールのヒロインはエリスだと思うけど、ルーデウスは何度も暴力を振るわれて、最初から最後まで振り回されてばかり。

横山信義 『烈火の太洋3-ラバウル進攻』

昭和一五年、英仏との戦争に突入した日本に、米国も宣戦を布告。連合艦隊マリアナ諸島において米太平洋艦隊と激突する。航空機の積極活用により勝利を得たものの、この勝利は逆に米国の戦意を高める結果となり、講和の道筋はまったく見えなくなった。
戦線の拡大を望まぬ山本五十六はトラック諸島を根拠地として守りを固めようとするが、米国は長距離爆撃機を繰り出しこれを妨げる。空爆を封じるためにビスマルク諸島ラバウルを押さえるべきとの軍令部の命令が下り、主力戦艦を欠いた連合艦隊は、空母を結集した機動部隊を編成した。対する米太平洋艦隊も空母を中心に据えた艦隊を送り出し、ここに、史上最大の海空戦が開始される!

やはり避けられない運命だったのか。
前巻、マリアナ近海で激突した日米ですが、航空運用に一日の長がある日本に軍配が上がります。
結果的にほぼパーフェクトゲームに近い形となりましたが、損傷した主力艦の修理のため、すぐに動くことはできません。
開戦劈頭で失ったマーシャル諸島を奪回に動くことなく、トラックで守りを固めます。
むしろ動いたのは米軍であり、新鋭重爆B17を繰り出して空から攻めてきます。被害は多くない代わりに空の要塞の異名を持つB17を撃墜するのは配備されたばかりの零戦でも難しい。
これでは安心して泊地として利用できないということで、前線基地となっているラバウル攻略を目標とします。これには英連邦の有力国であるオーストラリアへの牽制の意味も含まれているのでした。
そこで出撃するのは正規空母4隻・軽空母4隻、合計8隻からなる機動部隊。
一方で米軍も壊滅した戦艦に代わり、空母を主力とする部隊を迎撃に派遣。
かくして、史上初の機動部隊同士の決戦が始まるのでした。

開戦時期が早まったというだけで、太平洋方面は概ねいつもと同じ展開になりそうですね。
真珠湾奇襲によってアメリカの世論が沸騰こそしませんでしたが、緒戦の敗北によって意気消沈することなどなく、かえって戦意が高まってしまうという結果になりました。
厭戦を狙うのは長期間あるいは情報戦をしかけるしかないと思うのですが、どちらも日本には不得意ですし。
そして最前線の安全を確保するには敵の拠点を落とさなければならない。
勝利を得て占領地を広げても敵は退いてまた固める(本土ではなく太平洋の島々なので無理に確保する必要はない)。
前線が広がると兵站が延びていき……。と山本五十六が懸念した長期消耗戦に繋がっていきます。

そういえば、史実ではミッドウェー海戦のあった1942年はドイツも東部・アフリカ共に攻勢限界を迎えていた頃です。
作中ではドイツが頑張っている上、地中海の制海権を握っているのが大きな違いではあります。あとシベリア鉄道経由ですが、日独で交流できているのも大きいでしょう。
アメリカもまだ戦力が揃っていなくて、急遽改造した軽空母を出してくるくらいですし。
ともかく、史実よりも開戦が早まったという本作のIFを今後どう活かしていくのかが気になるところです。

大原省吾 『首都圏パンデミック』

内容(「BOOK」データベースより)
感染力、毒性の強い新たなウイルスが長崎で発生。体力のないお年寄りらから罹患して、高熱や下痢、嘔吐を引き起こし、死に至らしめる。その新型ウイルスが蔓延した飛行機が東京に向かう。感染者を助けようとする機内の医師、治療薬を探す研究者、首都圏封鎖も視野に入れる政治家―。未曽有の脅威と闘う人間を描いたタイムリミット・サスペンス。

東京都内で何者かに追われている様子の製薬会社研究者・碓井が不審死を遂げ、その謎を追う刑事の八代。研究者は重大な秘密を握っていて排除されたのではないかと八代は考えて会社を訪問しますが、ていよくはぐらかされてしまいます。
タイでは記憶を無くした日本人男性・新庄が現地の兄妹と巡り合い、いろいろあった末に偽造パスポートを用意してもらい、空路で日本を目指そうとします。
その頃、長崎の小さな島で今までにない新型インフルエンザが発生。感染力と毒性が強くて、罹患した患者は高熱や下痢、嘔吐を引き起こし、次々と死んでいきます。
ただし、不思議なことに一週間ほどでウイルスは自然消滅。他の地域に波及することはありませんでした。
そこで政府は事実を伏せて幕引きを図ります。
しかし、日本を目指していた新日本エア726便では高熱に苦しむ乗客が発生。乗り合わせた女医の喜美花は症状はインフルエンザであるものの、あまりに異常さに戸惑います。
次々と同じ症状を訴える乗客が発生。一人だけの手にあまっていたところ、医療の知識があることがわかり意を決した新庄(偽名を名乗っていた)の協力を得て、事態に対処しようとするのですが……。

パンデミックを取り上げた小説はかつての核戦争と同じく「もしも」という仮想状況を描いていたのですが、現実に2020年から世界的な新型コロナウイルスの流行に見舞われているだけにかえって現実味を帯びてきたように思います。
本作は世界最大の製薬会社にて研究の過程で生まれてしまった強力なインフルエンザウイルスが登場するのですが、醜い陰謀によって首都圏が危機に晒されるという展開です。
新型コロナウイルスもきっかけは人災が疑われているだけに洒落にならない内容ですね。
患者が次々と発生し、数十人単位で死亡が出てしまった726便の運命はいったいどうなるか?
途中の国際空港に降ろそうとするも、感染を恐れた当該国の許可が降りません。
最終的に国は非情なる決断を下します。
そこで鍵となるのは乗り合わせた新庄が持っていたアタッシュケース
製薬会社の研究センターに勤めていたという彼が記憶を取り戻せば、その中身が解決の糸口になるかもしれない。
しかし、新庄の脳には記憶を取り戻したら破裂するコイルが埋め込まれているという。
後半から終盤にかけて実にスリリングな展開を見せるわけで、目が離せませんでした。
事件の真相を追い求めるためには手段を択ばない八代刑事。旅客機の中で懸命な治療を施す医師の2人など、登場する人物の思いと行動がよく描かれていた上、納得がいく結末を迎えました。
ただ、危急時に総理大臣が頼りないのが日本らしいというか……。きっとアメリカで書かれた小説であれば大統領が毅然として決断を下すのでしょうねぇ。
一点だけ思ったのはタイトルと内容には若干相違があるということです。おそらく目を惹くために大袈裟なタイトル付けたでしょうが。

美の山(埼玉県皆野町)夜景

来場者制限のある中でようやくディズニーリゾードのチケットが取れたそうで、娘が丸一日外出する12/5。
こういう時は夫婦でもちょっとした日帰りの出かけしたり外食するのが習慣になっています。
妻は去年行った足利フラワーパークを考えていたそうです。ちょうとイルミネーションの季節ですし。
どういうわけか今回は夜景を見たいと言い出しまして、埼玉県内で探してみて、何度か行ったことのある美の山にしました。
前に行ったのはツツジの時期で、娘がまだ赤ん坊でベビーカーに乗せていたのを思い出しました。
ということは17年ぶりってところでしょうか。

現地で昼食を摂るため、あらかじめ目を付けていたカフェレストランを目指したのですが、隠れ家的な場所らしくて通りに看板がないので見つからず。
結局、道の駅みなののレストハウスでうどんと小カツ丼のセットを食べました。
その後は道の駅内の売店で買い物して時間を潰して美の山を目指しました。
国道140号沿いに美の山公園入り口の看板があり、ひたすら山道を登っていきます(15分程度)。頂上付近の駐車場まで車で行けるので便利です。
山の名前は蓑山(みのやま)といって標高581.5mですが、秩父地方では珍しい独立峰なので見晴らしは良いです。
美の山公園(美の山国民休養地)

夜景を見るとはいえ、明るいうちに着いて待機しておこうと思い、16時過ぎに到着。途中ですれ違った車は10台以下。頂上の駐車場にも2台しかいません。
花が盛りの時期以外は人は少なめですね。
当日の日の入りが16:28。室内にいると4時半くらいには暗くなりますが、外はまだ明るさが残っています。
しかし、頂上付近はだいぶ冷え込んでいました。
17時くらいに山頂の展望台に上がってみましたが、山の端に残照が残っていました。
これはこれできれいですが、夜景としては物足りないでしょうか。
左に見えるのが武甲山

真ん中右よりの四角っぽい山が両神山のようです。

30分くらいして足元が見えないくらい暗くなってくると、徐々に夜景が鮮やかになってきました。

しかし、展望台は見晴らしがいい分、吹きさらしとなっていて、とにかく風が冷たい!
普段よりも暖かくしてきたつもりでしたが、冬の山をなめていましたね。暗くなるので懐中電灯は持参しましたが、防寒としてはとても足りませんでした。
ですので、完全に暗くなる前に退散することになりました。
あと一ヶ月早いくらいに来た方が良かったかもしれません。
ちなみに常時いたのは5人以下で空いていました。でも私たちが来る前から三脚でカメラを構えていた人がいて、最後まで残っていましたね。夜景撮影が趣味なのかも。

横山信義 『烈火の太洋2 太平洋艦隊急進』

昭和一四年一二月、日独伊三国同盟の約定により英仏との戦争に突入した日本は、インド洋攻略に乗り出す。連合艦隊は激戦の末に英国戦艦隊を撃破したが、突然、作戦中止命令を受けてしまう。南シナ海において、日米の軍事衝突が勃発したためだ。やがてアメリカが参戦、日本軍はフィリピンへの攻撃を開始する。

一方、ハワイを出撃した米艦隊はマーシャル諸島を足がかりにフィリピン救援を目指す。だが、日本最強の戦艦である長門陸奥は先の海戦での損傷を修理中で、動かすことができない。40センチ砲戦艦コロラド級三隻を押し立てて決戦を迫る米太平洋艦隊に対して、主力を欠いた連合艦隊に打つ手はあるのか!?

史実よりも2年早く日本が第二次世界大戦に参戦したというシリーズ。
前巻で東南アジアにおける連合国(イギリス、フランス、オランダ)植民地を席巻した日本軍ははインド洋に進出し、派遣されてきたイギリス艦隊との決戦。
劣勢なはずの英航空部隊に翻弄されつつも、かろうじて勝利を収めました。
日本としてはアメリカだけは相手しないことが重要。フィリピン在住の米軍からいくら徴発されても暴発しないよう耐えていました。
しかし、インド洋の決戦後にフィリピン近海にて輸送船団を護送してきた駆逐艦が米艦隊と武力衝突してしまうとの知らせが入ります。
双方が先に相手が発砲したと主張して譲らないために外交交渉も実らず、なし崩しに開戦へ。
明記はされていませんが、参戦の口実を探していたアメリカの目論みを感じますね。
かくして準備を整えたアメリカ太平洋艦隊が出撃。マーシャル諸島を皮切りに空襲をかけてきます。
勝利したとはいえ、主力の戦艦長門陸奥は大きな損傷を受けていたために修理に時間がかかり、出撃できる戦艦は主砲口径に劣る艦のみ。
救いとして米軍は大西洋方面からの増援がなかったため、空母に関しては日本が有利となっていました。

米軍のことだから、じっくり着実に攻めてくるかと思いきや、すぐさまサイパンが空襲されて被害を受けます。
これにGFは大慌て。トラックもサイパンも戦力が整ってなく、航空兵力を増強しようとしていた矢先の奇襲でした。
とにかく、戦艦伊勢・日向・山城・扶桑を中心とした連合艦隊を出撃させ、サイパン付近で待機させます。
しかし、米軍は40センチ砲戦艦コロラド級3隻を含んでいて、主力の戦力比は劣ります。
いかにして勝利を収めるか。山本五十六GF長官は策を練るのでした。

このままアジアにおける連合軍だけを相手にしていれば、日本としては優勢に進められる。
しかし、そうは問屋が卸さず、でした。
予想はしていましたけど、やっぱり今回のシリーズも日米対決となりました。
今までと違うのは開戦時期が前倒しされたため、96式艦戦などの一世代前の航空機が現役であるというのが大きな違いでしょうか。2巻で零戦とF4Fが実戦デビューしましたが、まだ数に限りがあるとしています。96式艦戦の武装の弱さが目立ちましたね。
この時期、航空戦力は補助扱いでしたが、戦艦同士の決戦に航空機を投入した連合艦隊が見事な勝利を収めました。
そうなると、ゆくゆくは航空主兵へと変わっていくと思われますが、どちらにしろ大戦後半は圧倒的な国力を持つアメリカが優位に立つは違いありません。
この時点で独ソは開戦してなく、シベリア鉄道を使った日独の技術交流が活発になっているのが救いでしょうか。
メインとなる海戦だけでなく、欧州を舞台とした外交にも力が入れられているような気がしますね。
これからどのような大戦が描かれていくのかが気になるところです。

不手折歌 『亡びの国の征服者4 魔王は世界を征服するようです』

家族の愛を知らぬまま死に、二つの人類が生存競争を繰り広げる世界で新たな生を受けた少年ユーリ。
彼は騎士院で学ぶかたわらでホウ社の事業を拡大し、いずれ来たる祖国の亡びを見越して“新大陸”の発見を目指していた。
そんな中、隣国のキルヒナ王国と“もう一つの人類”であるクラ人の遠征軍――“十字軍”との戦争がついに始まろうとしていた。
そしてユーリは女王の要請により、王女キャロルをはじめとした学生からなる観戦隊を率いて、前線を視察しに行くことに。
隊長として初めて隊を率いるユーリは、単身で下見も行い、万一のことが無いよう万全を期していた。
前線とはいえ、王鷲による上空からの視察。
この旅路には本来、大きな危険など無いはずだったが……!?

クラ人(通常の人間)とシャン人(ほぼ人間と同質であるが、外見的には耳が長い)による人種間闘争が長く続いている世界。
クラ人たちはシャン人を一方的に悪魔のような敵として、国家連合による十字軍を編成して攻めていました。
現実の地理でいえば、欧州大陸のほとんどを領域としているクラ人によって、シャン人の国家はスカンジナビア半島の二国家のみ。
前話からの続きでのシャルタ王国では隣のキルヒナ王国の防衛戦に援軍を送るだけでなく、将来の軍人たる騎士院の生徒たちに観戦するよう王命がくだったのでした。
主人公ユーリは観戦隊の隊長として、王女であり副隊長のキャロルや秘書的な役割を担っているミャロと協力しながら隊員を選抜していました。
道中の補給物資にいたるまで念入りに準備を整えた上でいざ観戦の旅に出発。
拠点となる村の宿の経営者が逃げ出すなどのアクシデントはあったものの、ほぼ予定通りにキルヒナ王国に入ります。
ひょんなことでユーリはキルヒナ王国軍と援軍であるシャルタ王国軍の軍議に居合わせることになりましたが、柔軟性を欠き旧弊化した将軍たちに先行きの不安を覚えます。
観戦隊は王鷲による上空からの視察のみ。敵は空を飛ぶ手段を持たないので、よほど高度を下げないかぎりは危険はないと思われました。
それゆえ、一隊を率いたユーリ自身はあらかじめ用意していた試製火炎瓶にこれまたリリー先輩に頼んで作ってもらったライターで着火して、物資集積場に落下。
見事大量の物資を炎上させます。
観戦ばかりでなく、味方に利する行動を無事終えて本隊に合流しようとしたところで、なんと敵兵が騎乗した飛竜が味方の王鷲を襲っているのを目にします。
特に敵は目立つキャロル*1を執拗に狙っている様子。
是が非でもキャロルを助ける必要に駆られたユーリは高度を取って、飛竜に襲い掛かります。
翼に槍を打ち込むも、尻尾による反撃に遭い、ほぼ相打ちの形で森の中に落下。
奇跡的に軽傷で済んだのですが、その代わりに長い付き合いだった王鷲が下敷きになり、救うことは無理と悟り、最後を看取ります。
離れた場所に落ちた敵竜兵を討ち取り、キャロルと合流するも、彼女は足を骨折していたために背負いながらの苦しい逃避行が始まるのでした。

4巻の部分はweb版でも読んでいましたが、舞台が戦場に移ったこともあり、緊迫感溢れる濃い内容でした。
なんといっても森の中での逃避行がメイン。
ユーリだけならばともかく、怪我を負ったキャロルも背負わなければならないというハンデ。王族が落ちたことを知った敵は追手を差し向けるのを撃退していく描写がみどころです。
まさにユーリの戦闘およびサバイバル能力が存分に発揮されていますね。
敵に追われ続けるユーリたちが無事逃げられるのか。また親密さを増す2人の関係。そういった意味で先が気になり、夢中になって読んでいました。
こうして書籍版でまとめて読めて満足です。
世界観的にも銃器が普及し始めた時代であり、その有用性を知るユーリが味方に説明したり、いち早く火薬を戦闘に利用するあたりが面白かったです。
リリー先輩やミャロ、イーサ先生といった脇を固める人物も魅力溢れています。
逃避行前半の締めくくりがとても良いシーンでした。続きの次巻が楽しみです。

*1:金髪は王族の証なので。

楽天生命パーク宮城(楽天イーグルス対西武ライオンズ)観戦記

当ブログでプロ野球についての記事を書いたのは8年前。マー君こと田中将大投手の怒濤の活躍もあって、楽天イーグルスが球団初のリーグ優勝および日本シリーズで優勝を決めた年でした。
2013-10-28 プロ野球
その後、プロ野球への興味は一時的に収まることもあったりして、基本的にネットで結果を知る程度でした。

今年は田中将大選手の日本球界復帰を始め、去年最多勝の涌井投手、岸投手、則本投手、さらに新人ながら即戦力が期待された早川投手という強力先発陣により、優勝候補の一角とされて、実際にシリーズ始まってからは首位に居続けて好調でしたね。
今は私も在宅勤務なので、仕事終わった後に家で観られる時間ができたことにより、まずはパリーグTVのお試し一ヶ月無料で観始めました。
結局、楽天ユーザーでもあるので、楽天TVの有料プランに申し込んで観続けています。
夏以降は勝ったり負けたり。連敗もあったりして順位は下がり3位となっています。
試合のある日はほぼ毎日観ているでしょうか(仕事や用事があって途中からもよくあり)。
特にホームゲームを観ていると応援席が映るので、現地で観戦している人が羨ましいと思う気持ちが徐々に強まってきていました。
しかし、宮城は遠い。埼玉在住なので、行きやすいのは県内のメットライフドーム西武ライオンズのホーム球場)、次に千葉のZOZOマリンスタジアムロッテマリーンズのホーム球場)ではあります。
いずれにしろ、新型コロナによる緊急事態宣言が続いている状態だったので諦めていました。

緊急事態宣言が解除されたのを機に、やっぱり今シーズン一度は行ってみようと思ったのです。来場人数の上限も上がっていましたし。
しかし、10月初めの時点でZOZOマリンメットライフドームともに楽天戦はほぼチケット売り切れ状態。あっても高額な席だけでした。
その次の週、13日から楽天生命パーク宮城で6連戦が予定されているということで、天気が不明でしたが、15日(金)のチケットを購入することにしました。
その日にしたのは休日よりも平日の方がチケットが安いこと。翌日が休みであること。それから相性の良いライオンズならば勝ち試合を観られる可能性が高いと思ったからですね。
行くのは1人だけです。学生時代はともかく、家族は野球に興味ないし、会社でも人野球の話なんかしないですからねぇ。
チケットを購入したのは10日前。どうせ観るなら内野席と思って見たところ、すでにだいぶ埋まっていました。

楽天生命パーク宮城

チケットを取ったついでに応援グッズのバットは当然購入。
迷った末に雨だった場合に備えてレインポンチョも買っておきました。
問題は往復の交通手段。少しでも交通費を節約するために行きは在来線を乗り継ぐことにしました。
帰りは新幹線の最終が仙台発21:48。
いつも試合は3時間程度。今シーズンは延長なしなので間に合うかもしれませんが、展開次第で3時間を超える試合はざらにあります。
さらに勝ったらヒーローインタビューも観たい。
帰りの混雑も考慮したら、球場に居られるのは21時20分くらいまで?
最終に間に合わない可能性の方が高いとみて高速バスを予約するか?
帰りの時間は流動的だし、初めて行く場所であまり時間を決めておかない方がいいと思い、いざとなったら仙台駅近くのカプセルホテルに泊まり、翌日はちょっとした観光をして帰ってこようかくらいに思っていました。こういう時は1人の方が気楽です。

それからは毎日天気をチェックしていましたね。
前後の日が雨模様だったので、気が気じゃなかったです。
一番嫌なのは球場近くまできて雨天中止が決まった場合です。
幸いなことに15日が近づくにつれて天気はもちそうだと知って安心しました。

当日。18時試合開始ですが、17時前には行くつもりでした。
大宮から宇都宮線東北線を乗り付いて、7時間近くかかってさすがに長かったです。
仙台駅からはシャトルバス(大人100円)を利用しました。
仙台到着前に電車が遅延したこともあって予定よりも遅くなり、17時くらいに球場に到着。周りはイーグルスファンばかりで、すでにテンションが上がっています。

球場周りには多くの売店があって迷ったのですが、ここはイーグルスグルメで食べ物と飲み物を購入し、中に入りました。
取った席は3塁内野席側のフィールド席。その名の通り、かなり内野が近く感じられる席です。
↓試合前の風景。



先発はイーグルスが瀧中、ライオンズは今井。
後半戦に入って安定したピッチングが続いている瀧中。本日10勝なるかと期待していました。

しかし序盤は不安定というか、守備の乱れもあって先に点を取られる展開となりました。
ただ、ノーアウト満塁を抑えたのを含め、1、2回とも最小失点で切り抜けたのはさすが。
あとはイーグルスの反撃を待つだけ。応援に力が入ります。
が……続けざまの併殺にため息が漏れました。
声を出さない応援という決まりはありますが、それでも一球一打に声を出さざる得なくなります。

ところで普段観ている時は必ずアナウンサーと解説がはいるので、聞いている方としては少なからず影響されます。
それがなくて、生で観ているのが新鮮でした。
また、画面ではカメラは投手の後ろから映して、バッター・キャッチャー・審判が正面に来るのですが、3塁側内野席からだとほぼ横から見ている感じですね。
だから投じられたボールは高さくらいしかわかりません。
守備はサードとショートはよくわかります。

私の席からだと1塁が遠いので、茂木選手が打球を捕ってスローイングすると、ボールが勢いを減じないまま1塁手・鈴木選手のミットに収まるのがすごいなと思ったものです。
やっぱり、生で見る打球の音と速さ、それに守備の様子は迫力がありました。
遠いと言えばライトはかなり遠く感じましたし、レフトもライン際は影となってファウルかフェアかよく見えなかったですね。
やっぱりバックネット裏の席は高額なだけあって、試合の様子がよくわかるのでしょう。
ちなみにファウルは思ったほど飛んでこなかったですが、一度だけすぐ後ろに落ちてきて、ちょっとびっくりしました。

惜しむらくはイーグルスの打線が低調であり、各選手が2塁から3塁、さらにホームベースまで駆ける姿が観られなかったこと。
その中で唯一の成果は島内選手の20号ホームランでした。

やっぱり、目の前でひいきチームのホームランが観られるのは幸せです。
試合は1対2のまま経過。盛り上がったラッキーセブンもあっさり終了した8回。ライオンズ山川選手の3ランホームランでとどめを刺されました。
瀧中投手は粘りながら2点に抑えるピッチングでしたが、今井投手が良すぎましたね。
イーグルス打線はまったく元気なかったです。
Sportsnaviの試合結果

ヒットや四球が少なかったせいか、展開が予想以上にすごく早くて、8時半には終わってしまいました。ここ最近では珍しいくらい短い試合でした。
これが勝ち試合だったらまだ良かったのですが、あっさりするほどの負け試合(1-5)なので、すぐ帰ることに。
シャトルバスに乗るために待ちましたが、仙台駅には21時くらいに到着。余裕で帰りの新幹線に間に合いました。

仙台では時間も交通費もかかるので頻繁に来るのは無理ですが、やっぱりホームゲームはいいものです。また来たいですね。
来シーズンになったらメットライフドーム楽天生命パークのそれぞれで観戦してみようかな。