まいん 『食い詰め傭兵の幻想奇譚11』

食い詰め傭兵の幻想奇譚11 (HJ NOVELS)

食い詰め傭兵の幻想奇譚11 (HJ NOVELS)

内容(「BOOK」データベースより)

各邪神の名前が明らかになり、とある知り合いが邪神関係者であることが判明する。その知り合いとは、ギルドの受付嬢アイヴィ=ブリッジガード。彼女への聞き込みから、シェーナの復活に関する手がかりが手に入り―。これは、新米冒険者に転職した、凄腕の元傭兵の冒険譚である。

前巻でマグナと激闘を演じた古代遺跡の一室は邪神の創成を行う装置が置かれており、その銘に刻まれたいた名前を知ることになったロレンたち。
そのうちの一人の姓に覚えがあったため、カッファの街の冒険者ギルドに行って確かめることにしたのですが、目的の人物が逃げ出さないよう目付を頼まれたグーラが派遣したのが色欲の邪神ルクレティア。
しかも眷属を従えて押し寄せたために現地はラピスが吐きそうになるほどの地獄絵図と化していたのでした。
ともかく、当の受付嬢アイヴィ=ブリッジガードからの聞きこみにより、ロレンの中で精神体として同居するシェーナの身体が入手できるかもしれないとのこと。
その施設を利用するにあたり、アイヴィから塩漬けとなっている依頼(音信不通となっている近くの街の調査)も受けることになり、ロレンとラピス、グーラにアイヴィも加わった4人は出立したのでした。


青い砂漠が広がる不思議な光景を見ながら辿り着いた街では門番も宿や店の主人も揃って受け答えがおかしい。
さらに炊事を始めようとしたところで、いつもロレンの肩にひっついているニグが大量の糸を吐き出して、井戸を封じ、宿全体さえ覆ってしまうのでした。
しかも夜中には街の人々が集まると、導かれるように強烈な臭いのする下水路へと入っていってしまったのです。*1
まともなのは外部からやってきた商人や冒険者くらい。
この時点で街全体に異変が生じているの確かです。
その鍵が地下の下水にありそうだということで、いやいやながらもロレンたちは潜ることにします。ラピスが作った消臭アイテムを頼みに。


依頼を受けた先で異変に遭遇→古代遺跡発見→マグナの一味を始めとする厄介な敵と遭遇して戦う→激闘の末にロレンが限界まで力を振り絞る→病院のベッドの上で目覚める。
パターン化しつつありますね。
それでも安定した面白さではありますけど。
それにしても、極めて自己中心的なマグナの行為はもはや迷惑を通り越して公害レベル。街や国が滅んでも一向に気にしないようで、結果的に尻ぬぐいというか、命に係わるほどのしわ寄せを喰らってしまうロレンたちに同情するしかありません。
他に思った点としては、ニグが有能。動物というより魔物の本能?
唯一普通の人間であるロレンが無事なのはニグのおかげでした。
それからロレン自身はシェーナを元に戻してあげたいと思っていますが、エナジードレインの威力を考えると、シェーナと離れるのはいかがなものでしょう。本人も離れたがっていないし。もっとも少女と精神的に繋がっていて、考えがばれてしまうのは男として辛いものがありますが。
ロレンとラピスがさりげなくイチャイチャするのもいいですね。
しかし、別の女性がロレンにちょっかいを出そうとするラピスの怒りが怖い。
ヒドインな上にヤンデレ風味がありそうです。

*1:現代の都市と違い、灯りがない真っ暗闇でもはぐれる者もいない