西澤保彦 『からくりがたり』

からくりがたり (幻冬舎文庫)

からくりがたり (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

女教師との爛れたセックス、妹の同級生との情熱的な交歓…。高校三年の冬、自死した青年が遺していた、みだらな空想を綴った奇怪な日記。日記にまつわる人間が、つぎつぎと酸鼻な事件に巻き込まれていく。毎年、大晦日から元旦への一夜に起こる殺人、被害者はすべて女性―。事件の現場に必ず姿を現す謎の男“計測機”とはいったい何者なのか。

浅生倫美には18歳の若さで自殺した兄・唯人がいて、ある日兄の遺した日記を見つけてしまいます。興味本位で読みだした倫美はその内容のあまりの過激さに驚きます。
曰く、禁断の関係を結んだ女教師・梶尾順子を性奴隷のように扱う一方で、倫美の友人・下瀬沙理奈とも交際をしていた。さらにカフェの店員・佐光とも親しい関係になっていて・・・。
しかし、妹視点から見て兄には男性としての魅力はまったくなく、沙理奈と交際していた形跡など皆無。
いかにもリアリティに溢れた細かい描写がされているように思えたが、実際の出来事を確かめてみると辻褄が合いません。
濡れ場に関しても、いかにももてない男の一方的な妄想を表現したとしか思えないのでした。(「遺品がたり」)
そこから始まる八つの語りにて、倫美が高校時代から交友関係にあった友人たちや日記に登場した女教師、カフェ店員が次々と謎の事件に巻き込まれて死んでいく。
その一方で毎年お正月には一人暮らしの女性を狙った殺人事件が起こっていて・・・。


正直言いますと、物語が何を意図しているのか、どこを楽しめばいいのかよくわかりませんでした。
なんとか最後まで読み切ったものの、結局は謎は謎のままでもやもやが残ってしましたし。
一話一話での死の状況説明はわかりますけどね。
一人暮らしの女性が殺された件との繋がりや動機については意味不明なまま。
事件の現場に必ず姿を現す謎の男“計測機”とはいったいなんだったのか?
結局ミステリというより、モテない童貞少年の妄執によるホラーだったのかと思うと残念。
それに登場する女性のほとんどが乱痴気騒ぎ・乱交を繰り広げる必要はあったんですかね?
いかにも若い女の子の乱れた実態をオヤジ目線で描いたとしか思えなくて*1
別にエロはいいんですけど、特にストーリーに絡まないならあそこまで入れる必要はなかったのじゃないかなって思いましたね。

*1:それも昭和の感覚で