13期・29冊目 『食い詰め傭兵の幻想奇譚6』

食い詰め傭兵の幻想奇譚 6 (HJ NOVELS)

食い詰め傭兵の幻想奇譚 6 (HJ NOVELS)

内容紹介

小説家になろう発 6,000万PV突破の超人気バトルファンジー第6巻!

黒鉄級冒険者に無事(?)昇格したロレンたち。次に受ける依頼を探していたところ、女たらしクラースからとある村への物資搬入を頼まれる。
その依頼でロレンたちを待ち受けていたのは、人をおかしくしてしまう森と、以前出会った邪神の一人・グーラだった――。

先月のことですが、作者まいん氏の過去のツイッターが問題視されたことを含めて一大騒動が起こり、テレビアニメ化まで進んでいたもう一つの作品『二度目の人生を異世界で』が急遽中止、原作も出荷停止の事態になってしまいました。
本作シリーズも危ぶまれていたのがなんとか購入できて一安心したのですが、Web版の方は未だに連載停止中です。
どれくらいかかるかわかりませんが、ほとぼりが冷めたら活動再開してほしいところですね。


さて、今回はロレンたちが拠点とするカッファの町が属する王国が隣国と戦争を始めてしまったのですが、別に元傭兵として血が騒ぐということはなく、巻き込まれるのは勘弁だというロレン。
しかし、そんな状況でも生活の糧を稼ぐ必要はあるわけで、ラピスが見繕ってきた依頼票の中でできるかぎり戦禍から遠ざかるものとしては、一つしかありませんでした。
それがある村への生活物資搬入の護衛。問題としては冒険者を雇うには報酬が安すぎること。
ちょうどそこにクラースがやってきて、奇遇なことに彼がその依頼を受けるつもりでいて、ロレンたちを誘いに来たのでした。
希代の女たらしであるクラースのこと。その理由は夫を亡くしたばかりの妙齢の未亡人村長からの依頼だったからというわけでした。
しかもなぜか荷馬車に同行する村民は女性ばかり。どういう理由か村から男性が根こそぎ消えてしまったというそうですが。
大過なく村まで辿り着いた後、隣村まで行ったまま戻ってこない村の男性たちの捜索依頼を追加で受けることになります。
隣村はもぬけの空であり、やはり隣接する森が怪しいと思った一行ですが、ちょうどそこに王国の騎馬隊が到着。
なにやら脱走兵が相次いでいて、その調査に来ていたというのです。
どのみち、森に入るつもりでいたロレンやクラースは騎馬隊と同行するのですが、奇妙なことに森の中には生き物の気配が一切なく、やがて怪しげな香りが漂ってきて、兵士たちは続々と落馬。
ラピスとクラースのみ正気を保っている中でクラースと同じパーティの女性陣は色惚けしてしまうわ、ロレンでさえも自身を保つことが難しく、内在する死の王シェーナに意識を譲り渡すことになってしまったのでした。


今回、カラー挿絵に登場した通り、暴食の邪神グーラだけでなく、色欲の邪神ルクレツィアがほぼ原作に忠実に描写されたのはいいのですが、あれが淫欲の邪神とか・・・見たくはなかったですが出てきてしまいました。
静止画だからまだしも、あれをリアルに目の前にしたらさすがに気持ち悪いだろうなぁ。しかもドスの聞いたオネエ言葉や名状しがたい臭いも一緒だとすると、吐き気を催したラピスの気持ちが理解できそうな気がします。
色欲の邪神の権能によって、そういう気持ちを催して色惚けしまうわけですが、堅物ロレンはともかく、クラースでさえ流されなかったのは意外というか、けっこうまともなんですね(笑) 
女性がパーティにいる彼らはともかくとして、ルクレツィアの好みで集められた兵士や村人たちは男性ばかりなわけで、その状況はまったく想像したくないもの。
駆け付けたグーラが戦闘に入るも、同じ邪神同士では決着がつかず、ロレンがルクレツィアを止めるために戦闘に参加することになり、相変わらず無茶しちゃいます。だがそこが格好いい。ロレンがますます人間離れしていくなぁと。


最後はいつも通りに病院のベッドで目を覚ますのですが、グーラの誘惑に乗りそうだったところにちゃんとロレンにも男性らしいところがあって安心。
もっともラピスが文字通り物理で吹き飛ばしてしまいましたが。
今後グーラがロレンと行動を共にすることになって、ますます賑やかになりそうです(食費が大変そうだけど)。
さて、次巻で新たな邪神が登場すると思うのですが、無事に出版されるといいですが。