10期・43冊目 『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈5〉冥門編』

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈5〉冥門編

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈5〉冥門編

内容(「BOOK」データベースより)
20××年。東京銀座に突如現れた「異世界への門」。門の向こう側『特地』には、手付かずの潤沢な資源、そして、栄華を極める巨大帝国の存在があった。『門』の影響による天災を懸念し、『門』封鎖を決断した日本政府。ところが、諸外国陣営は『門』の管理権を巡り日本に圧力をかけ、『門』封鎖を阻止すべく銀座を占拠する。時を同じくして、『門』開閉の鍵を握るレレイが何者かに攫われてしまう。一方で、特地では、ゾルザル軍掃討まで後一歩のところまで迫った日本自衛隊に対し、まさかの撤退命令が下る。それは特地の治安維持を見棄て、直ちに帰国準備せよという非情な指令であった。それぞれの隊員達が下した決断は?『門』の行方は?そして、伊丹と異世界美少女達の運命は―?超スケールのエンタメファンタジー、ついに完結!狂瀾怒涛の最終章、開幕。

先月4巻に続いて5巻も注文しておいたのですが、なんだか商品到着まで1か月近くかかってしまいました。
やはりアニメ放送で注目を浴びたせいか、もともと5巻あたりは在庫少なかったせいもあるか、まぁそんなわけでちょっと間が空いてしまいました。


内容的にはこの物語の端緒である「門」による異変が両世界に及んでいることから閉鎖の方向で進んでいる日本政府と特地の権益を得たい諸外国の思惑、特に皇子ディアポと密かに手を結んでいた中国が強硬手段、それも開閉能力を持つレレイ拉致に出たことから混乱に拍車をかけています。
一方、帝国の内戦も正統政府本拠地のイタリカに乾坤一擲の攻勢をかけたゾルザルと迎撃するピニャのどちらも引けない兄妹対決、影では一気に皇帝へと手を伸ばす暗殺者たちと護衛メイドたちの戦いも激しさを増していきます。
そんな中で正統政府を支援していた自衛隊には特地撤収準備の指令が出るも、国際NGOのデモから意図的な暴動に発展し、「門」を囲むドームが占拠されたことで連絡が途絶してしまうのです。
果たして「門」が繋いだ日本と特地の行方は如何に?


最終巻でメインとなっていたのは「門」をめぐる駆け引きとイタリカ攻防戦であり、主人公である伊丹の出番は少なめ。
相変わらず強制入院の身ではあったわけですが、おそらく囚われのレレイ救出役となるだろうとは思ってはいましたよ。
ただ登場の仕方がコミカルなのは最後までブレなかったなぁ。その際、栗林による股間強打(一応、故意ではない)は途中までとは言えティカと×××なことしちゃった罰ということで(笑)
「門」のこちら側の騒動に関しては、政治家やマスコミ、外国(というか中国)という観点からしてあまりにも善悪がはっきりし過ぎる構図だったなーとは思いました。
そこはストーリー展開というか話をまとめる以上は仕方ないのかもしれませんね。
ただ東日本大震災の影響でカットされたと思われる「門」による異変、そのため閉鎖に至るまでの説明がもう少し欲しかった気がします。
その分、劣勢の中で奮闘する薔薇騎士団、そして暗殺者と戦うペルシャ*1たち護衛メイドたち、ゾルザルの側近として秘めた思いを隠していたティーレの最後とか、特地側人物は心情描写も含めて最終巻らしい活躍ぶりが見れて良かったです。


結局、閉門騒動の最中に別の異世界から蟲獣が襲いかかってきたこともあって、大騒動の末に「門」は閉鎖され、伊丹*2を始め自衛隊の一部は特地に残ることとなりました。
若干終わり方がドタバタした分、異変現象の収束状況とか、ピニャを首班とする(?)帝国政府や周辺国の関係、そしてアルヌスの街の状況とか、特地人と日本人で結ばれたカップルの行く末とかいろいろ気になるのですが、書ききれていない分は外伝にいくのでしょうか。
それにしても本編と外伝の冊数が同じってどういうことよ?
たぶん、読み事になるとは思いますが。

*1:緊迫した場面なのに猫族特有の語尾「ニャ」がつくと和む

*2:同人誌即売会に未練があった本人は不本意ながら