9期・67冊目 『時空の旭日旗13  過去の匂い未来の音』

内容紹介
米軍は、太平洋全域にわたる日本軍基地の同時多発攻撃を敢行。さらに、「A情報」による無線傍受で、米国が核爆弾の開発に成功したことが判明する。ついに最終局面を迎えた大戦の行方は? そして、「あずみ丸」クルーの運命は!? シリーズ堂々の完結編!

欧州戦線では未だ枢軸国が崩れないどころかソ連は大幅に後退。中東の英領も危うくなってきた状況で米軍が本格参戦するにはまずアジア・太平洋戦線を片づけなければならない。
そこで大地震に見舞われた日本に対して追い打ちをかけ戦争遂行能力を削ぐべく、アメリカ軍を中心としてアジア方面の連合軍が総力を挙げて同時多発攻撃を仕掛けたというのが今回の主な内容。
前回に引き続きアリューシャンからの北日本、陸軍機を空母に載せての本土空襲、そして要衝トラック、フィリピン、台湾、インドシナと北から南にかけて万遍なくといった感じです。
A(あずみ丸)情報によって早くから早期警戒網に力を入れていた日本軍は実戦投入されたばかりのジェット機橘花*1や防空専門艦隊などの活躍により、損害を出しつつも撃退に成功。
日本軍の健闘により連合軍の戦略は狂ってしまい、ここで奥の手とも言うべき新兵器を投入することを決意する。しかし史実を知るあずみ丸メンバーによってその情報はキャッチされていたという流れです。


最終巻だと聞いていましたが、最後の最後までまったくそう思えなかったですね(笑)
何巻も前からここまで話を広げて膠着させておいて、どうやって決着をつけるつもりなのか危惧していたのですが、悪い方の予想が当たって強引な幕切れとなってしまいました。
講和理由にしてもあずみ丸メンバーの処遇にしても、無理やり感が強かったです。
タイムスリップした現代人によって歴史をやり直すというありがちなパターンでも、1930年代を選んだ点とわりとリアルで地味な内容が好みだったのですが、やはり戦争に突入してしまうと納め方が難しいようですね。
シリーズ前半はかなり楽しめたのですが、終わってみれば竜頭蛇尾といった結末でした。

*1:史実の特攻機と違って後世の技術を取り入れた高性能機