9期・15冊目 『群龍の海5 帝都死守命令』

群龍の海5 帝都死守命令 (歴史群像新書)

群龍の海5 帝都死守命令 (歴史群像新書)

内容(「BOOK」データベースより)
米国は、日本を短期間で屈服させるべく、トーラス作戦を発動した。目標は東京、手段は砲撃!ポスト・パナマ級戦艦7隻を擁する「白い大艦隊」は勇躍、その矛先を日本の首都・東京へと向けた!1944年11月19日の夜が明けたとき、旭日旗を掲げた軍艦は、鳥島西方海上から姿を消していた。米太平洋艦隊を迎撃した第一艦隊の戦艦6隻は、ポスト・パナマ級の巨砲に屠られ、第二艦隊の「金剛」と「比叡」も「ヴァーモント」の46センチ砲に蹴散らされたのだ。追いすがる連合航空艦隊の「龍」と「鳳」の群れは、首都・東京を守り切れるのか!?シリーズ完結!航空主兵主義VS.大艦巨砲主義、最終決着!

来る大西洋戦線参入のために対日戦早期決着*1をつけるべく発動されたトーラス作戦。
前巻までサイパン小笠原諸島を蹂躙して航空戦力を無力化した後、急遽出動した日本の長門陸奥などの戦艦部隊を圧倒しました。
巡洋艦部隊を相手に奮戦していた「金剛」「比叡」の第二艦隊も「ヴァーモント」の巨砲が向けられると退避せざるを得ず、「白い大艦隊」を止めることはできないのか?
ってところでいよいよ「龍」と「鳳」の連合機動部隊の追撃。そして帝都周辺の陸海軍挙げての防戦がメインとなります。
ちなみに前巻最期の謎の航空機もちゃんと今回に繋がる説明がありました。


空母を基幹とする機動部隊が日本本土、それも首都に迫るというのは史実でもドーリットル空襲がありますが、さすがに戦艦が迫るのは(終戦間近のように場合を除けば)架空戦記の中くらいでしょう。*2
それを実現させるための様々なお膳立てをして、ついに最終巻。
国力にものを言わせて建造した巨大戦艦を揃えて進撃する米軍に対して、持たざる日本軍は旧式機までも持ち出しての必死の防戦であり、まさに富者と貧者の戦略のぶつかりあい。
どちらもこれを決戦*3と定めているだけにまさにシリーズのクライマックスらしい内容でした。
日米戦においては同一の戦略思想でまっとうに戦っていたら国力の差から言って講和に持ち込むのは難しいというよりまず無理ですから、こうやって無理にでも攻めて来させて日本が守りきるという形で自然な幕切れであったと思います。

*1:二正面作戦は世論が許さないという縛りがある

*2:横山信義氏の過去シリーズではあったが

*3:後が無いのは日本の方だが