9期・7冊目 『闇の祭壇』

闇の祭壇 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)

闇の祭壇 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)

内容(「BOOK」データベースより)
レジャーセンターの建設現場で古代の遺跡が発掘された。地下に封じられていた小部屋にはおびただしい骸骨が…。それが恐怖の幕開きだった。建設現場では原因不明の事故が続発して多くの作業員が命を落とし、町では両眼をえぐられた無惨な死体が次々に発見される。美人考古学者キムとウォレス警部の二人が一連の事件の指し示すものに気づいた時、想像を絶する結末は間近に迫っていた。強烈な残酷描写を過剰なまでに盛り込み、パワフルな筆力で描く、鬼才の会心作。

冒頭、古代遺跡の発掘現場において突然地割れが起こり、地中奥深くにケルト民族が作ったと思われる祭壇のような遺跡が発見されます。
そこには生贄に捧げられたと思われるおびただしい数の人骨が発見されるのですが、すべて胴体と頭部が別々に切り離されていたという。
不気味だが貴重な遺跡の発見によって沸き立つ考古学者たち。
しかしレジャーセンターの建設を進めたい地主によって一方的に発掘調査の中止を通告されてしまうのですが、そこから恐ろしい惨劇の幕開けとなるのでした。


工事関係者が不自然なまでに次々と命を落とすのですが、その死にざまはエンジン停止したはずの機械が勝手に動き出して押し潰されたという妙にオカルティックなものから、両眼をえぐられ内臓が引き出された挙句に皮まで剥がれるという無残な連続殺人にまで発展します。
更に無関係な子供が次々と誘拐されて、警察も翻弄されるばかり。
考古学者キムは同時に発掘した石版を解読した結果、一連の事件が指し示す恐ろしい予言に気付くのです。


まさに残酷描写を描きたいがためにここまでの背景を用意したのか…?と思わせるほど過剰に描きこまれたシーンの数々に圧倒されますな。
ただしストーリー自体は世界の破滅の予兆段階で終わってしまった感じで、何とも言えない物足りなさでした。*1
どこで本筋に絡んでくるのかと思っていた脇役たちも内輪揉めやらなんやらでフェードアウト。結局添え物に過ぎなかったのかと。
人間離れした連続殺人犯の正体だけは意外性があって良かったのですけど、三人であることが重要なはずの生贄が四人に増えていたり、ヒーロー的活躍ぶりを見せたウォレス警部が最後の最後で怖気づいたりと何だか適当だなぁと苦笑せざるをえません。
オカルト部分は結局わけがわからぬまま放置だし。まぁいかにもB級ホラーな小説ですね。

*1:続編があっても良さそうな終わり方だったけど、たぶん出てないだろうな