違和感の正体

TV好きな妻は韓国ドラマもよく見ます。
毎日放送しているのでうっかり録画を溜めてしまうと見るのも時間かかって大変だとか。
そして、なぜか歴史音痴なのに韓国ドラマだけは例外のようで、この前は蒙古と高麗の戦いの時代のを見ていたかと思えば今度は李氏朝鮮の時代?のを見てる。
たぶん大奥みたいな朝廷のドロドロとした人間関係がドラマとして面白いのかもしれませんね。


ところで、夜くつろいている時はリビングのテレビに向かっている妻と少し離れてPCに向かっている私という図になるので、自然とテレビの音が耳に入ってきます。
私は歴史好きではありますが、朝鮮史にはさほど興味が無かったので詳しくは知りません。何度か王朝交代があったな〜くらい。知ってる人物も少ないし。
なので普通に聞き流していたのですが、耳に入ってくるセリフにどこか違和感がある。
しばらくその正体がわからなかったのですが、ようやく気づきました。
朝廷が舞台となっているだけに王や王妃がよく出てくるのですが、臣下が「王様」「王妃様」と呼んでいること。


皇帝(天皇)・王あるいはそれに準じる地位の人など、貴人に対する敬称というものがあります。
帝・王本人およびその妃に対しては「陛下」、その親族に対しては「殿下」というふうに。
直接名前を呼ぶのを忌むことで敬意を示すわけです。*1
たとえ位が高くなくとも諱といって本名を呼ばずに「字(あざな)」などの通称や役職名で呼び合う習慣があるくらいですからね。高貴な人物であればなおさら。
日本史上においては天皇を指す敬称として現代でも使われる「陛下」の他にも「主上(おかみ、しゅじょう)」「帝(みかど)」「内裏(だいり)」「禁裏(きんり)」などいろいろありました。
元は中国の秦の時代に始まり律令制度の輸入を通して日本にも定着している文化ですから、当然朝鮮にもそういった慣習があってもおかしくはない。いやむしろ朝鮮王朝は中国の冊封国(諸侯国、属国)だから無いのはおかしい。
よって原文そのままであろうと訳文であろうと、敬称で呼ぶのが当たり前じゃないでしょうか。
「王様」「王妃様」と言ってて不自然じゃないのは童話くらいじゃないかな。


そう思ってちょっとググってみたのですが、私と同じ疑問を抱いた人がいましたね。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1046185645
あえて「陛下」ではなく「王様」とするのは歴史に疎い人でもわかりやすいようにという配慮なのかもしれませんが、「陛下」なんて現代でも使われる敬称だから置き換える必要ないと思うんですけどねぇ。
あとは日本の歴史ドラマだと現存する子孫や地元自治体が関係するなどの理由によって歴史検証がとやかく言われるけど、外国ドラマの翻訳だとそこまで気にする人は少ないってことなんでしょうかね。

*1:後世の人が呼ぶような〇〇帝とか〇〇王といった称号はたいてい没後に贈られる