8期・66冊目 『時空の旭日旗11 歴史のスパイラル』

内容(「BOOK」データベースより)
1944年9月。西の最前線となった南アンダマン島をめぐり、「大和」を旗艦とする南遣艦隊と、連合軍の英仏合同艦隊がベンガル湾内で激突。「A情報」により誕生した早期警戒管制機「深山三四型」などの活躍により日本軍が勝利、英仏軍をセイロンまで退けて、さらに西進を目指した。しかし、連合軍はインド洋進出を予期しており、B‐42など新たな兵器を投入する『コイン・トス作戦』がすでに発動されていた!戦場をインド洋へと移した待望のシリーズ第11弾!

A(タイムスリップしたあずみ丸)情報により格段の鉄壁を誇る日本の防衛圏内に穴を開けんとする米英仏豪軍*1との応酬が続いていますが、前巻から舞台となったのがインド洋の玄関口とも言えるアンダマン諸島
上陸を許したものの、戦艦大和や空母信濃など強力な戦力を持つ南遣艦隊の派遣によって速やかな防衛と敵撃破を図る日本。
それに対して連合軍は英仏艦隊およびB29の代替機から派生した高速爆撃機B‐42を繰り出しての航空戦が前半の見どころ。
そして後半はうって変わってマレー半島シンガポールへの空爆を始めた連合軍に対して、日本軍が一大反撃を行う展開となります。
結局、局地的には日本が優勢に進めても、豊富な物量を誇る連合軍にとってはさほど打撃とはなってなく、先の見えない戦いが続いている印象がありますねぇ。


技術的な説明が多くなるのは仕方ないにしても、個々の描写はテンポ良く進むので、さほどストレスは感じません。
ただ、前巻でも書きましたが、10巻を超えても一向に戦争の落としどころが見えないのが気になるところ。
状況的には豊富な戦力を誇る連合軍に対して、あずみ丸の戦史記録やPCを駆使した通信傍受、未来の軍事技術・知識を応用して効果的な戦力投入によって対抗できているのはわかるのですが、一旦破綻したらズルズルいきそう。
史実とは国力が違うとはいえ、限界に近づいている気配も見えるので、終戦に向けての展開がそろそろあっても良さそうだと思うのですが。

*1:兵器はアメリカ製が多いけれども