- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/01/11
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (129件) を見る
内容(「BOOK」データベースより)
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した若き男女七名。これから舞台稽古が始まるのだ。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇である。だが一人また一人、現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの中に疑惑が生じる。果してこれは本当に芝居なのか、と。一度限りの大技、読者を直撃。
オーディションに合格した若き男女七名(男4・女3)は脚本家の指示でペンションに集まり、新しい芝居の舞台稽古という名目で三日間を過ごします。
豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇というテーマで、夜ごと一人、また一人と仲間が殺されたという設定で消えてゆく。
あくまでもお芝居だというものの、二つ目の殺人に使われたと思われる凶器に血がついていたことから、これは芝居ではなく現実に起きていることではないかという恐怖に駆られるわけです。
しかしわずかな証拠しかないため、本当に芝居だとすれば外部への連絡は役を降ろされるという縛りがあって彼らは動けないまま時が経っていき、三日目の朝に第3の殺人が起こってしまう…。
以下ネタバレありです。
結論からすれば、「芝居稽古を兼ねている彼らの中で殺人が起こる」という芝居を見せられているという三重構造となっていたわけです。
読んでいる方としては実際に殺人が起こっているのだと思わされてましたから、よく考えられているなぁと素直に感心しましたね。
考えてみれば登場人物がみな役者なのですから、その殺人の演技に見事に騙されました。
劇団外からの参加者である久我が第三者視点の独白を述べていると同時に唯一の不確定要素となっていて、実はそこにいくつかのアクシデントがあったのですが、すべてを見通すのはさすがに難しい。
終盤の種明かしにて、そのきっかけとなった愛憎劇が繰り広げられます。
因果関係としては納得できなくはないものの、どうもとってつけた感があってあまり感情移入はできませんでしたね。