7期・73冊目 『将軍と大奥-江戸城の「事件と暮らし」』

内容(「BOOK」データベースより)
本書は、将軍や御台所の暮らし、江戸城の構造と城内で起こった事件、江戸城で働く諸役人の仕事や日常の勤務を紹介していく。現代からは想像できない慣習がある一方で、現代と似たような幕府役人たちの生態もある。江戸城への小さな旅を楽しんでいただきたい。

以前から小説『徳川の夫人たち』やよしながふみ原作の漫画男女逆転『大奥』を読んだりして、江戸時代の将軍と大奥について関心を覚えていたこともありまして、図書館で見つけたこの本を手に取ってみた次第です。
内容は江戸城内の表(将軍や老中の公務場所)・中奥(将軍の住まい)・大奥と三章に分かれていて、それぞれで暮らす人々の慣習やしきたりを史料を元に解説されています。
江戸城内の平面図や家系図に年表などが多用されていて、用語や人物の注釈もあり、イメージが持ちやすくはなっています。
時代とともに将軍の公務を取る部屋がどんどん奥に引っ込んでいったり、老中との間を取り次ぐ役職の変遷などのエピソードなどは興味深かったです。
ただ小説と違って、なんだか教科書を読んでいるような無味乾燥さを感じてしまったのですが、それと言うのも、どうやら江戸文化歴史検定というものがあり、その参考書的な位置づけで刊行されたものらしいのです。
だからでしょうか。江戸城および大奥を揺るがした事件もさらりと流すだけであまり言及がなかったのが残念。
それに幕末〜明治初期に出版されたらしき江戸城内関係者の聞き取り記録が中心になっているせいか、部分的に生活に根付いた具体的さはあっても、記述の時代配分が偏ってきた気がします。
だから江戸時代全般を通じた歴史解説としては物足りず、読み終わってなんか中途半端な気がしたものでした。