TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」(完結編)第2,3話

昨夜録画分から続けて見られたので、今回は2話分いっぺんにいきます。

第2話

脚気に効く菓子”として、南方仁大沢たかお)の考案した安道名津(あんドーナツ)が江戸で評判となったある日のこと。仁は、奥医師でもある西洋医学所の松本良順(奥田達士)から、「脚気の疑いがある皇女和宮黒川智花)に、安道名津を献上してほしい」と頼まれる。あまりの光栄な出来事に、橘咲(綾瀬はるか)をはじめとする『仁友堂』の面々が大喜びする中、再び歴史を変えてしまうことに躊躇が生まれ、ひとり思い悩む仁…。
そんな折、仁は、長屋を追い出され職を探している野風(中谷美紀)と再会する。野風を気遣い、『仁友堂』で働くことを勧める仁。経営難の『仁友堂』を切り盛りしている咲もまた、野風を快く招き入れるのだった。
後日、安道名津の献上を決めた仁は、咲を伴い“お忍び”で澤村田之助吉沢悠)の芝居を見にやってきた和宮のもとを訪問。無事に献上を済ませた仁は、和宮が安道名津を美味しそうに食べる様子を見てホッとするのだが、それも束の間、和宮が突然その場で倒れてしまい…!?
第2話あらすじより

前回考案の安道名津(あんドーナツ)が好評を博して、皇女和宮への献上話が降ってわいたわけです。ちょっと急展開ですが、奥医師でもある松本良順繋がりってことで。ドラマ版ではさらっと描かれていますが、タイムスリップして以来、仁の医療技術に魅せられた同業者との縁ができたのは結構大きいのですよね。
更に歴史上の人物に関わるといえば、前回の西郷隆盛もそうでしたが、歴史に詳しくない人でも聞いたことありそうな有名人物が続々登場しますね。このへんが『JIN-仁-』の面白さでもあります。しかし、それが仁、そして仁友堂の危機につながるとは…。
あ、この話に欠かせない野風もうまいタイミングで復帰してます。未来(みき)の先祖かもしれない野風に対する想いを知っている咲さんとしてはやや複雑のようですが。


そして仁の人の良さと鈍感さが非常に強く印象づけられた回と言っていいでしょうか。
この時代、医といえば内科である本道が中心で、庶民は外科にかかるという習慣が無かったそうな。それゆえ、いくら時代を超えた医術を持ち得ていても、それが売上に反映するとはいかず、経営は苦しいまま。本道医である福田玄考に頼るばかり。そこで黙って自分の持ち物を質に入れる咲さんが健気ですなぁ。鈍感な仁は途中まで苦しい台所事情にも気付かない。いや、仁にも「いつ未来に戻ってしまうかわからない」という事情があるのですが…。
原作に無い未来(みき)の存在によってできたこの三角関係がストーリーも深く関わっていてちょっと複雑な感じがしますねぇ。


安道名津献上を決意し、澤村田之助の芝居の場で召し上がることに。そこで急に苦しみだして倒れてしまうというドラマチックな展開ですよ。
仁の指示による胃洗浄を行って大事無く済んだものの、仁と咲は牢に入れられることに。旗本の家柄ゆえに座敷牢に要られた咲さんと違って、牢は大牢行きに(医者は通常、座敷牢とのこと)。ツル(賄賂)の存在を知らず、大牢に入れられた仁はあわや殺されるかというところで終わってしまいました。2話目にしてこの展開とは、原作読んでいない人にはショッキングだったでしょうなぁ。
大牢という過酷な環境にあっても信念を貫く仁と、その無事を願う咲さんの姿が印象的でした。
実は事件の裏にはあわよくば仁を葬り去ろうという陰謀の存在が表れているのですが、その前に福田玄考が脅されている場面があったりして視聴者としては紛らわしいかもですね。ええ、彼は無実なのです。もっと悪い奴がいるんですよ。

第3話

南方仁大沢たかお)と橘咲(綾瀬はるか)は、皇女和宮黒川智花)に献上した安道名津(あんドーナツ)に砒素を盛った疑いを掛けられ、毒殺未遂の容疑で牢屋敷に入れられてしまう。大牢に送られた仁は、牢名主(宇梶剛士)とその手下たちから、執拗なまでの仕打ちを受けることに。そして、次に仁を待ち受けていたのは、役人たちからの厳しい拷問であった。“天の裁きが下ったのだ”と、ついに死を覚悟する仁…。そんな中、勝海舟小日向文世)、坂本龍馬内野聖陽)、橘恭太郎(小出恵介)は、新門辰五郎中村敦夫)に協力を仰ぎ、仁を助け出そうと幕府に働きかけるのだが…!?
さらに、仁の逮捕を知らされた仁友堂の面々も大混乱。「こうなったのはすべて医学館のせい」と考える佐分利祐輔(桐谷健太)は、医学館出身の福田玄孝(佐藤二朗)を責め立てる。福田は、今回の一件についての御調べを任されている医学館の督事・多紀玄琰(相島一之)に、もう一度公正な御調べをするよう必死で懇願。しかし、そんな人々の願いも届かず、死罪が決まった仁は奉行所に送られてしまい…。
第3話あらすじより

運命のいたずらとしか言えないようなタイミングで死から脱し、さらに牢内の環境改善を図る。あの環境でも自分を通す仁の凄さが窺い知れます。
一方、仁が囚われたことが知られ、助命に奔走する竜馬や恭太郎たち。新門辰五郎の助けもあって一橋様のお墨付きを得られるのですが…。
これオリジナルシーンですけど、印籠を前にして役人があっさり偽物と切って捨てるのってアリなんかなぁと疑問に思ってしまいました。でも逆に竜馬の訴えによって、周りの人たちが助けようとしたりしたらどうしようかと思ってしまいましたが(笑)


奉行所において、咲さんを助けるためにあわや身に覚えない罪を自白しようかというところであっさり構い無し(無罪放免)との沙汰が。ここは本当にほっとした場面ですね。
その裏では思った以上に器の大きかった多紀玄琰の働きがあったのですが、共にこの国の医療を向上させたいという仁の人柄はそれを上回ります。福田玄考もどうなるかと思いましたが、良かった良かった。まぁ元々多紀玄琰が仁の医療技術を利用しようというのは、それだけ仁を買っているというのもあったのですが、ちょっと誤解されやすく描かれていますよね。


今回、ツルの出所が明らかになり、野風が異国人ルロンの元に身を寄せていることが明らかになります。このあたりでは、単なる身売りではなく、以前から想いを寄せていたルロンの人柄の良さに野風が惹かれたことがわかります。
そして野風が「先生と幸せになると約束してくださんし」「では咲さん、おさらばえ」と語って去っていくのがなんともいい場面でした。
さてこれでめでたく咲さんも結ばれるのかと思いきや、仁の告白をあっさり振ってしまう。おやおや…。*1
たとえ仁が未来に去っても仁友堂が残るようにしたいがため、その気持ちを受けれることができないと。
うーん、気持ちをあらわにはしない咲さんらしい大人な対応ではあります。それにドラマ的にもこういうのは引き延ばした方がいいのかも。ちょっと残念ではありますけどね。

*1:原作漫画では海辺で指輪を渡して想いが通じるいい場面なんだけどなぁ