TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」第7〜9話

第8話を飛ばして第9話を先に見た後、8話を見たものとして勘違いして消してしまって困ってしまったのです。しかし昼間再放送を行っていると知り、無事見ることができました。
そういうわけで今回は3話連続で感想いきます。

第7話 (11月22日放送)

あらすじ*1
佐分利(桐谷健太)が発端となって起きた西洋医学所を揺るがす騒動は、仁(大沢たかお)が自ら医学所を去るという形で収まったかに見えた。しかし、西洋医学所には依然として仁のことをよく思わぬ医師たちが存在し、仁の医術を支持する洪庵(武田鉄矢)たちにもその影響は及んでいた。
ある日、茶屋の娘・茜(橋本真実)が誤って油をかぶり、大怪我を負ったことを知った仁は、咲(綾瀬はるか)と共に茜の家へ急行する。「治すには皮膚移植をするしかない」と判断した仁は、必要となる大量のペニシリン生産を洪庵に依頼。快く引き受ける洪庵だったが、「その手術を自分の知人にも見せたい」と、仁に申し出る。
そして、洪庵とその知人である濱口(石丸謙二郎)が見守る中、茜の皮膚移植の手術が始まった。手術は順調に進み、その医術を目の当たりにした濱口も驚きを隠せない。しかしこの後、仁たちを待ち受けていたのは、予想もしない出来事だった−。

JIN-仁-』の中における、山田純庵の立ち位置を決定づけたと言ってもいいペニシリン製造をめぐるエピソード。最初の頃の憎たらしい印象がすっかり変わってる(笑)
新たな製造拠点に山にサのマークを見つけた時の仁の嬉しそうな表情が印象に残っているのですが、現代に繋がるものを見た時の喜びというのはいかばかりでしょうか。
そして遂に病に倒れた洪庵に仁が未来から来た正体を明かす名場面。ドラマでも演技に力が入っている感じがしました。
個人的に役者としての武田鉄矢とは3年B組くらいで他はあまり印象ない*2のですが、このドラマに関しては落ち着いた良い演技してくれましたね。


ところで、前回から続いた西洋医学所の騒動は、もちろん所内の主導権争いも絡んでいるのですが、それまで最新の医術を誇っていた蘭方医らが南方仁の登場によって立場を失ってその怒りの矛先を仁やその同調者に向けたというのが裏にあるわけですね。進んだ技術を目の当たりにして素直に感心できない連中はいつの時代もいるわけで。
そこは龍馬に詰め寄られた多紀の台詞によっても明示されてはいるのですが、いまいちドラマでは伝わりづらかなった気がします。
そーいや、仁の周辺人物としては出番が多い割には目立たない恭太郎。彼も仁や龍馬を身近に見て何やら焦りを感じているよう。なぜかドラマでは花魁といい仲になっているけど・・・。

第8話 (11月29日放送)

あらすじ
大きな支えとなってくれた洪庵(武田鉄矢)を亡くし、今まで以上に強く生きることを決心した仁(大沢たかお)は『仁友堂』という病院を開院し、より薬効の強いペニシリンを作るために咲(綾瀬はるか)と日々実験を繰り返していた。しかし、従来のものより薬効の強いペニシリンを作るには莫大な金が必要であり、援助を濱口(石丸謙二郎)に依頼するも、その答えはとても期待できるようなものではなかった。
それを聞いた龍馬(内野聖陽)は、なぜか仁を吉原に連れて行く。半分呆れながらも、護衛の恭太郎(小出恵介)と共に3人で吉原を訪れると、野風(中谷美紀)が一人の武士らしき男に詰め寄っていた。男がその場を去ったのち、人だかりの中に仁の姿を見つけた野風は、病に苦しむ花魁・初音(水沢エレナ)を診察してほしいと懇願する。
初音は客の子を孕み、中絶したことによって敗血症を引き起こしていた。瀕死の状態に陥る初音がうわ言で人気女形澤村田之助吉沢悠)の名前をつぶやいているのを知った恭太郎は、自らの感情を抑え、田之助に金の援助を求めてはどうかと仁に提案して−−!?

原作でも触れられているのですが、治療熱心ではあるけれど経営のことはさっぱりな仁は何度も金策に走らざるを得ないわけで。ペニシリンの強化に関してはこれ以上濱口儀兵衛には頼れない仁。
そこで初音の治療に関していよいよ人気女形澤村田之助の登場ですね。田之助に関してはその後何度も仁と関係するんですが、登場は今回限りでしょうな。
にしても、初音に関しては恭太郎が一枚噛んでいるためになかなか複雑になってますなぁ。恭太郎の人物像としては、原作ではあまり描かれてないのですけど、ドラマでは不器用ながらも仁や龍馬に影響されて内心忸怩たるものを抱く人物という印象を受けます。


今回のドラマで実はすごいなと思った点。ペニシリン開発に必要な400両を巡って田之助にに土下座して頼んだ恭太郎、そして女郎屋に身売りを申し出た咲さん。これって身分が固定された江戸時代、しかも小身ながらも旗本の人間としてはかなり勇気の要ることだと思うんですよね。きっと母親の栄さんが聞いたら卒倒しそうなくらい。
そこは仁を対しては、誰もが私心を捨てて協力したくなるという医者としての器ということで結んでいるんですけど。

第9話 (12月6日放送)

あらすじ
突如、野風(中谷美紀)にやってきた身請け話。女郎という身分が故、身請け話を断ることができないことを知りながらも、野風の仁(大沢たかお)に対する気持ちは日に日に強くなっていくばかりだった。
一方、仁は、佐分利(桐谷健太)らが作った新たな医療器具に感心していたのだが、その医療器具を見たある一人の爺は、鼻で笑い、仁の医療を真っ向から否定する。その爺とは火消し「を組」の親分・新門辰五郎中村敦夫)であった。その素性を知らず、辰五郎にひるむことなく意見した仁は、次に火事があった時、火事場で治療することを約束してしまう。
ある日、野風からの手紙を受け取った仁は、一緒にいた龍馬(内野聖陽)と共に吉原へ向かう。野風のもとへと向かう仁に、咲(綾瀬はるか)は切なさを募らせていた。“相談がある”とのことで仁を呼び出した野風だったが、それは単なる口実であり、吉原を訪れた仁たちを待っていたのは、野風をはじめとする花魁たちによる宴であった。酔いつぶれる龍馬をよそに、ついに野風と二人きりになった仁は、野風が顔ばかりでなくその心までも未来(中谷美紀)と似ていることに気付き−−!?

今回は、野風の身請け話と「を組」の親分・新門辰五郎とのエピソード。
この二つは別々に発生しつつも仁にとっては微妙なタイミングで関連するんですよね。
野風の気持ちを知ってとまどう感があった原作と比べて、恋人と瓜二つなために惹かれてしまうドラマ版の仁。*3それにしても写真がまた変わって仁も落ち着かないなぁ。それを見ている咲さんも片思いの先輩を校庭の陰で見守る女学生のよう。*4ちょっとこのあたりはしつこい感じがしないでもないです。


やはりメインは辰五郎親分に約束した通り、火事で焼け出された患者を治療する仁はじめ仁友堂チーム。仁も咲も医療の現場でこそ生き生きして見えます。
そこへ担ぎ込まれたのが消火活動中に煙を吸い気道熱傷に倒れた千吉。辰五郎の片腕とも言える人物なのに、もはや手遅れと切り捨てる辰五郎の台詞にこの時代の医療の限界を伺えますが、それを新たに手にした道具をもって治療するのが仁の腕の見せ所。
風向きが変わり、治療所に火が及ぶ中で火消しの意地を見せる辰五郎らと医者の心意気を見せて見事治療を完遂した仁らが熱い!(いや実際に暑かったろうなぁ)
このあたりは原作の緊迫した内容を良く伝えてくれてますね。


そこで次回気になるのが野風の診察と咲の見合い話あたりですね。それに龍馬を狙うことになった久坂玄瑞なんですが、ここまで史実を捻じ曲げるのは唐突というか無理やり感があるような。*5三隅俊斉はキャストに無いのでやはり登場しないらしい。あの表面的な柔和さと裏の憎たらしさを使い分ける人物を誰が演じるか気にはなったのですけど。


【追記】
その後、第10話見たら三隅俊斉出てきましたね。ドラマ内ではさして重要な役割は与えられてなさそうだけど。

*1:あらすじの引用は全て公式ホームページより http://www.tbs.co.jp/jin2009/

*2:101回プロポーズしたドラマは見ていなかったし

*3:今回、見た目だけでなく性格まで似ているとわかったしなぁ

*4:実際、設定上は16,7歳ではあるが

*5:そこは大筋では史実通りの原作と、限られた時間で物語を終わらせなければならないドラマの差かと